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2000人が死亡!? 熱中症 40℃の炎熱地獄からあなたを守る「救命マニュアル35」

水分補給に最適な飲み物、エアコンの稼働時間、服装は……

source : 週刊文春 2013年7月25日号

genre : ライフ, 医療, ヘルス, 社会

築20年以上の最上階は「熱中症」になりやすい

 屋外ではなく、住宅内で熱中症になる高齢者が急増している。2010年に救急搬送された患者の6割以上がそうだった。そのうち、暑い日中に居間で倒れたケースと、夜間の就寝中に倒れたケースは、それぞれ4割を占めている。

(10)夜間に熱中症になる原因は、「住宅環境」と「高齢者の冷房嫌い」にあると指摘するのは、慶応大理工学部システムデザイン工学科・伊香賀俊治教授。

「団地など築年数の古い集合住宅は断熱材が入っておらず、天井や壁から熱がそのまま室内に入ってきます。さらに、コンクリートは一度熱を持つとなかなか冷めず、夜になっても建物自体が室内を熱し続けます。昼間の気温が36度まで上昇した多摩ニュータウンの団地では、外気温が24度まで下がった明け方でも、室内は昼間とほぼ同じ、31度前後のままでした」

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 特に酷いのが最上階だ。

「搬送された患者のうち、入院する率を調べてみました。1階住民は半数が入院、中間階は80%弱が入院だったのにくらべ、最上階は90%以上が入院しています。(11)一番熱中症になりやすい住宅環境は『築20年以上のコンクリート集合住宅の最上階』です」(同前)

 では、一戸建ての場合はどうなのか。コンクリートの建物に比べ、木造は「熱しやすく冷めやすい」のが特徴。前述と同じ多摩地区の一戸建ての2階の室温は、昼間は33・5度まで上がったが、夜には28度程度まで下がったという。

「ただ、防犯や騒音などの問題で、窓を開けられない家も多い。もし寝室が2階なら(12)夏の間だけ1階で寝るのも有効です」(同前)

熱帯夜の時期はエアコンつけっぱなし◎

 どちらにしても、大切なのはエアコンの正しい使い方。なぜかエアコンが嫌いだったり、風があたると体に悪いと考えている高齢者は多い。住宅で倒れた人の9割がエアコン設備がないか、あっても不使用だった。

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「使わないというお年寄りが本当に多い。節電節約の気持ちも分りますが、大切なのは命。(13)寝苦しくて明け方に目が覚めるような時期になったら、朝までつけっぱなしにすべきです。温度は最低でも28度に設定してください」(同前)

 高齢者だけで過ごす世帯なら、(14)家族がこまめに連絡することも大事。

「家族と同居している場合でも、昼間はおじいちゃん、おばあちゃんだけが残る家庭も多い。どんな暑い環境になっているかわからないのです。(15)部屋に温度計を置いて、午後2時に電話をいれましょう。部屋の温度を聞いて、30度近かったらエアコンをつけるように促すのです」(三宅氏)