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「慰安婦フィギュア」の販売も

 そのルーツに疑義を残しながらも、慰安婦像は拡散し続けている。

 今年8月、ソウル市内を巡回するバスの車内に5体の慰安婦像が設置された。その異様な光景は日本でも報じられたが、この像を作ったのも金夫妻だ。

「“慰安婦バス”は、10月で運行を終了しましたが、バスに乗っていた5体の慰安婦像が“オリジナル”と対面し、その後、大邱(テグ)などの地方都市に運ばれ“帰郷”を果たすというパフォーマンスが行われました。各地方では慰安婦問題の啓蒙に活用されるそうです」(前出・韓国人記者)

慰安婦像の乗ったバス
“オリジナル”と対面した慰安婦バスの像

 金夫妻は、尹美香氏の挺対協や前出の正義記憶財団と協力して、“慰安婦像ビジネス”に余念がない。

「最近ではクラウドファンディングを使って、慰安婦フィギュアの販売も手がけています。挺対協のイベントのほか、ネットなどで世界に向けて販売されています」(同前)

 フィギュアを実際に製作したベンチャー企業の社長に聞いた。

「挺対協から金夫妻を紹介され2万個を製作しました。余った約1億5000万ウォン(約1500万円)の資金は挺対協に現金で渡しました」

 クラウドファンディングで集めた資金で、慰安婦をモチーフにしたネックレスなどを販売する企業も現れている。

「これまで17億4000万ウォン(約1億7000万円)を集め、文房具から衣類まで幅広く慰安婦グッズを販売しています。ウチでは営業利益の5割は正義記憶財団に寄付しており、その総額は11億4000万ウォン(約1億1000万円)に達しました」(広報担当者)

 いまや売れっ子となった金夫妻に製作を依頼するのも容易ではないという。

 自ら募金活動を行い、慰安婦像を設置した光州大学の学生が語る。

「当初は金夫妻に製作を依頼しましたが、『3000万ウォン(約300万円)以上かかる』と言われ、断念しました」

“慰安婦像ビジネス”に熱中する韓国

 この学生の銅像を実際に製作したのは南楊州市の工房「太陽美術」だ。

 工房入口付近の足元には、鉄筋の屑が無造作に敷き詰められており、中には白い布でぐるぐる巻きにされた奇妙な人型の銅像も置かれている。この道30年というベテラン職人のチェ・スンギュ代表が語る。

「普段は商業用の青銅品や芸術作品などなんでも作ってますよ。慰安婦像は本来、一体につき約1200万ウォン(約120万円)かかりますが、製作の理念に共感して800万ウォン(約80万円)で作ったのです。製作期間は1カ月ほどでしょうか」

製造工房に潜入

 取材を通じて浮かび上がってくるのは、熱に浮かされたように、慰安婦像を量産し続ける人々の姿だ。

 印象的な場面がある。

 11月25日に“オリジナル”の慰安婦像の傍らに集まっていた大学生たちが、定刻より30分遅れで、「売国的な韓日合意を直ちに破棄せよ!」とシュプレヒコールを挙げたときのこと。行き交う人々は彼らにいぶかしげな視線を送るばかりで、演説に耳を傾ける人は皆無だった。

 前出の韓国人記者は「それも当然です」と頷く。

「文政権の最大の課題は経済政策です。文氏は公務員を81万人増やすなど雇用拡大を掲げ大統領に就任しましたが、実績はまったく上がっていない。特に若者の就職難は深刻で、韓国の大学では日本での就活を促す動きまで広がっています。やはり公約で脱原発を掲げた原発問題も新規開設の表明を余儀なくされた。結局、支持率を維持するための頼みの綱は“反日”、つまり慰安婦しかないのです」

 菅官房長官は、「このままでは、あの政権はもたない」と周囲に漏らしているというが、前出の黒田氏は文政権をこう喝破する。

「文氏は慰安婦像などのパフォーマンスが日韓関係に及ぼす悪影響に考えが及んでいません。支持層である市民団体の影響を受けるあまり国家としての判断が出来ていないのです」

 韓国にはこんなことわざがあるそうだ。

〈千両の借りも一言で返す〉

 口が上手ければ、莫大な借金を切り抜けることもできるというわけだが、今年6月、韓国与党「共に民主党」代表の秋美愛(チュミエ)氏が慰安婦問題について、このことわざを引用し、「約束なので守らなければならないというのは契約法上の論理にすぎない」として、日韓合意は守るに値しないと主張。日本側は、元慰安婦の支援団体に10億円を拠出しているが、ことわざの意味するところは、「お金よりも信頼が大事」なのだという。

 いったい、慰安婦から“搾取”しているのは、どちらか。

(「週刊文春」2017年12月7日号より)

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出典元

韓国<文在寅大統領>には「国際羞恥プレイを」

2019年1月24日号

2019年1月17日 発売

定価420円(税込)