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ホテルの備品を3人に1人が「持ち帰りすぎている」問題――2019上半期BEST5

テレビにタオル、時計まで…とんだ“お客様”がいたものです

2019/08/16

genre : ニュース, 社会,

2019年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ビジネス部門の第1位は、こちら!(初公開日 2019年2月26日)。

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「ホテルに備え付けの備品は、どこまで持って帰れるの?」

 ホテル関係の仕事をしているとよく尋ねられる質問だ。持ち帰りについて宿泊者は独自基準を持っていることも多く、ホテル側を悩ませることとなる。

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©iStock.com

「大袈裟だ」と思う方もいるかもしれない。ところが、大手ホテル予約サイトのHotels.comが2013年に世界28カ国、8600人以上を対象にアンケート調査をしたところ、全体で3人に1人以上、日本人に絞っても実に4人に1人の宿泊客が「持って帰ってはいけないもの」を持ち帰っていると回答したのだ。

「消耗品」の範囲

 さて、冒頭の質問にもどろう。答えは簡単。基本的に「消耗品」は持ち帰っても大丈夫というのがルールだ。

 たとえば浴室などにあるアメニティ類。シャンプーや石鹸、ボディソープ、ブラシ、髭剃り用のレザーなどは持ち帰ってもよい。ただ、中にはボトルに入ったボディソープやシャンプーの中身を全部抜き取る、ティッシュボックス内のティッシュを全部持ち去る猛者がいる。これはおやめいただきたい。

 宿泊者が持ち帰ってよいかよく迷うのが、パジャマ、タオル、バスローブなどのリネン類のようだが、これはダメ。ホテルではリネンは繰り返し洗濯して使っている。「記念品に」などといって旅行鞄にしまい込むのはおやめいただきたい。

 ドライヤーももちろんNGだ。昔はホテルのドライヤーは洗面室などに壁付けにして盗難にあわないようにしたが、今はそのまま置いてある場合が多い。ドライヤー自体の価格が安くなったせいもあるが、置いてあるからといって持ち帰ってよいものではない。

これは明らかに窃盗だ

 最近はベッドサイドの時計がパネル式ではなく、普通の置き型の目覚まし時計を備えるホテルが増えているが、これも持ち帰りはNG。まだベッドサイドの置き型目覚まし時計が珍しかった頃、あるリニューアルしたホテルの客室に設置したところ、毎日5個くらいがなくなった。コンパクトでちょっとおしゃれな時計だったせいか、バッグに入れて気軽に持ち出す客が続出したのだ。時計にホテル名を入れるのもいやらしいので、時計にチェーンをつけてベッドとつなげてしまうことで持ち帰りを防いだものだが、チェーンごと引きちぎられたこともあった。これは明らかに窃盗だ。