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2019/08/09

「すぐにばれるのにどうしてこんな事をしてしまったのか」

 東京・文京区後楽。ここに都内の落とし物=拾得物を一堂に集めて管理する、警視庁遺失物センターがある。警視庁遺失物センターは総務部会計課の附置機関で、警視である遺失物センター所長を筆頭に、遺失物第一係、遺失物第二係合わせて80人の警視庁の組織である。担当業務を細かく見ていくと、遺失物第一係は遺失物の再調査・警察からの受け入れ・鉄道会社からの受け入れ・貴重品・集荷報告となっており、遺失物第二係は、高額拾得物の管理・拾得物の統計・システム管理が主たる業務となっている。ちなみに警視庁遺失物センターはテレホンサービスも設けて、拾得物に関する問い合わせに対応している。

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 今回のケースは町田市内の食料品店での拾得物28万円が店側から町田警察署に届け出られた。町田署の警務会計課の担当者は、警視庁内部の「遺失物総合管理システム」へ拾得物のデータを入力。システムへの登録は日常的に行われており、システムを活用することで警視庁の全ての地域警察官(主に交番などで職務に当たる制服警察官)が落とし物の照会を速やかに行うことができるのだ。

 28万円の拾得物は、本当の引き取り手が警察署を訪ねる2日前に男が受け取っていた。その男は警視庁高井戸署の地域課巡査Y(24)だったのだ。Yは詐欺の疑いで逮捕となった。Yは警視庁警務部人事一課監察係の聴取に、地域警察官なら誰でも触れることができる「遺失物総合管理システム」を使って、現金について把握したと答えたという。警視庁関係者によると、このシステムは警視庁や他の府県警ともデータ照会が可能で、専用端末は警視庁102署の管轄下にある交番に必ず1台設置されているという。Yは勤務先の交番でシステムに触れていたとみられる。警視庁の警務部参事官兼人事一課長は「警察に対する信頼を著しく損なう行為であり、捜査結果を踏まえ、厳正に対処する」とコメントした。警視庁の現職地域警察官のあるまじき犯罪行為。

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 ある警視庁幹部はあきれた口調で筆者に語った。

「すぐにばれるのにどうしてこんな事をしてしまったのか。そもそも完全に犯罪者の思考回路だ。警察学校での教養を徹底的に見直さないといけない」