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2019/08/09

端緒の8割は「警察内部からのタレコミ」

 酒と異性でヒトイチからの出頭要請に怯えるのは、警視庁の捜査部門に現在も所属する、X氏。X氏は私立大学を卒業後、1990年代後半に警視庁に入庁している。父親は警視庁警察官だ。ちなみに警視庁では祖父や父、親族が警視庁警察官であったという者が多くを占める。親族が警視庁警察官であることは「最高の身分保証」となり、採用試験もパスしやすくなるという。X氏の警察学校卒業後の卒配(卒業配置)は東京郊外にある警察署だった。どの警察官も避けて通れない地域課の交番勤務から警察官人生がスタートした。初任署では職務質問による検挙や留置管理などさまざまな業務を経験。平均倍率10倍以上の巡査部長試験にも見事合格した。そこでX氏の最初の「事件」が起こる。飲酒に絡んだものだった。

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 この一件でX氏はヒトイチから戒告処分を受けている。X氏は当初、希望を失っていたが一念発起し昇任試験の勉強に集中する。しかし、何度警部補試験を受験しても合格しない。X氏は所属の上司の推薦を受けており、通常は無条件で一次試験はパスできるとされている。当時の事案が尾を引いている――。最近になり、自分が昇任停止の処分を適用されていることをようやく悟ったという。

 X氏は警視庁本部での勤務経験はない。現在も警察署に所属している。妻と2人の子供にも恵まれている。しかし最近、ある一般女性と知り合い、酔った勢いもあり男女の関係となってしまったという。相手とはもう会うこともないと話すX氏。ヒトイチからの出頭要請に怯える日々を送っているという。X氏はどうなるのか。警視庁関係者が説明する。

「本件は明らかに懲戒処分の対象となる。この警察官の場合、過去の懲戒が昇任試験に影響していると考えるのが自然。本件で処分されたら左遷か諭旨免職だろう。警察官としての人生を終えてもらうしかない。そもそも適性がなかったんだよ」

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 ヒトイチの調査の端緒の8割は「警察内部からのタレコミ(密告)」だという。同僚や上司の不法行為などが電話や投書という形で日々寄せられるのだという。そこから対象への行動確認、身上人事記録の確認、立ち回り先などありとあらゆることが調べられる。被疑者に対する捜査と同じで不祥事案の証拠が集められる。そしてある日、出頭要請がかけられる。その時点では対象者の「容疑」は完全に裏付けられている。監察官が対象者と対面した時点で、行く末は決まっているのだ。

 免職のような重大な懲戒処分でなくても、ヒトイチに接触されたら警察官人生は終わることは間違いないようだ。

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