文春オンライン

私が「あいちトリエンナーレ」でやらかした津田大介さんをそれでも支持する理由

そりゃあまあ燃えるよね、と思うのですが……

2019/08/08
note

 旧知である津田大介さん、今回の「あいちトリエンナーレでは絶対に何かやらかしてくれる」と思っていたんですよね。

 案の定だったわけですが。

悪いのは脅迫する連中なのであって

 私の考えを先に書いておきますと、私は「表現の自由は、不快な表現こそ守られるためにある。だから、仮に津田大介さんのディレクションした表現が凄く不快なものであっても、それの批判は自由だが展示を中止したり撤去するべきではない」という意見です。

ADVERTISEMENT

 もうね、津田大介頑張れ、と。もっと突っ張れと。そう思うわけです。

©iStock.com

 一方で、展示している側として「ガソリンをもってお邪魔する」などの脅迫や過激な抗議メールが殺到している現状で、警備の都合も含めて安全対策を万全に行えない以上は展示継続するのはむつかしい、と考えるのもまた仕方のないところです。

 悪いのは「そういうクソみたいな展示をやめろ」と脅迫する連中なのであって、津田大介さんじゃありません。脅迫によって表現の自由が踏みにじられていいのか、と言っても、脅迫が続いた「黒子のバスケ」でも数々のイベントが中止に追い込まれたのは、やはり世の中には本当にそういうことをやりかねないアレな人たちがおるということの証左でもあります。

 もっとも、本来ならば、「表現の不自由展」として抗議殺到するような物議を醸す「芸術作品」を展示する以上は、このような過激な抗議が来ることも予測しているべきであったし、また、抗議する側にも政治的信条や主義主張もしっかりあるわけですから、「これはそういうものである」という抗弁の仕方も事前に考えておくべきだったと思うんですよね。

一定の割合で本格的に話の通じない変な人たちっているんですよ

 しかしながら、記者会見に出てきた津田大介さんを見ていたら、最初ロートルのプロレスラーがなぜ出ているのかと思うぐらい憔悴して「ボク、可哀想でしょう」という雰囲気で喋っていたので、ああたぶん抗議殺到することまでは予測しても、脅迫ファックスや物理的にやってくるアレな人たちについて予測できていないぐらいナイーブにやっちまったんだなと思いました。そして、喉元が過ぎたら津田大介さんは被害者面していろいろ言うかもしれませんが、もう少し覚悟があっても良かったんじゃないかとは思います。

記者会見する津田大介氏 ©時事通信社

 私も日ごろ山本太郎に間違えられたりネットの変な人がたくさんやってきやすい体質を持っているので、毎日のように殺害予告が届いたり、玄関を開けたら上半身裸の中年女性がクリスマスケーキをもって佇んでいたり、毎時間「山本一郎。お前のせいで不眠症だ。できることをやれ下衆」とかいう素敵なメールを頂戴します。

 世の中、一定の割合で本格的に話の通じない変な人たちっているんですよ。

 面倒くさいので近寄らないようにしようとしていても、突然「山本一郎は反社会的勢力だ」と馬鹿みたいな怪文書をほうぼう送りつけてみんなで大爆笑したり、ネットで書き散らかされた情報を見て事実と思い込んだ変な人が良く分からないサイトを作って面白がられたり、表現活動や世間でモノを言う仕事をすると良く分からない奴にいろんなことをされることはある程度は受忍しないといかんのだろうと思います。