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国民的人気キャラの“中の人”が訴える「着ぐるみ灼熱地獄」氷のうは秒で溶け、ネズミは…

大阪「ひらかたパーク」アルバイト死亡事故 #3

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, 働き方

 7月28日、大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」で、アルバイトスタッフの山口陽平さん(28)が着ぐるみショーの練習後、バックヤードで倒れ熱中症で死亡した。この件について「週刊文春デジタル」では、同パークの元着ぐるみスタッフの告白や、パーク現場責任者が関係者へ送った懺悔LINEをスクープした。

 元スタッフによると、着ぐるみショーの業界では、いかなるときも人前で着ぐるみを脱ぐのはご法度とされているという。この8月の猛暑の中、日本中のイベント会場で着ぐるみスタッフが奮闘しているが、いつ、山口さんのような悲劇が起こらないとも限らない。着ぐるみスタッフたちに厳しい労働環境について聞いた。

ひらかたパークの正面エントランス ©文藝春秋

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実際は熱風が中で回っているだけ

「よく『着ぐるみに扇風機をつけて中に風を送り込めばいいのでは』って声がありますが、まったく意味がない。私は、話題になった黄色いネズミの着ぐるみに一時期入っていたことがあり、その着ぐるみはまさにエアーを中に送り込んでいたのですが、実際は熱風が中で回っているだけででした。着ぐるみの中に氷のうを入れたりする同僚もいますが、秒で氷は溶けて、逆に湿度が増して蒸すので、これも意味がない、我慢しかないんです」

 こう話すのは、関西の着ぐるみ業界で10年以上働くベテランのAさん(30代)。Aさんは現在フリーで活動しているが、今回死亡事故が起きた「ひらかたパーク」でも一時期働いていたという。

「ひらパーは、ショーやグリーティング(着ぐるみでの接客)だけでなく、着ぐるみを脱いでも仕事をさせられるので大変。休む暇がなかった。『USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)』や『スペイン村』といった大手テーマパークは夏場は事故が起きないようにグリーティングを時短にしたり、休憩も十分にもらえる。ただし皆さんが思うほど時給は高くない」

 日本一有名なあの“夢の国”で、主人公を3年ほどつとめたことがあるB子さん(30代)も日当は1万円前後だった。ただし安全管理は徹底されていたという。

「私はテレビ番組や会場のグリーティングがメインだったのですが、時間管理は徹底していて必ず20分まででした。ショーは別の外人さんが担当し、その後、(グリーティングは)私たちが引き継ぐかたちでした。たとえ、テレビの生放送や人気の番組収録でも、リハ室に入り、着ぐるみを装着してから脱ぎ終わるまでがトータルで20分キッカリという決まりでした。但し、それでも暑い!! 他の着ぐるみに比べて、ヘッド(頭)が多少軽いのですが、それだけです」