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さすがに中止にするのかなと思ったら……

 業界のなかで、最も過酷な現場といわれているのが全国のデパートや住宅展示場などで行われるキャラクターショーだ。着ぐるみの派遣会社に登録し、フリーで西日本を回るCさん(20代)が現状を語る。

「アンパンマンやきかんしゃトーマス、ドラえもん、妖怪ウォッチ、このあたりはどこも30分間ショーをやって、その後、30分間のグリーティング、つまり握手会みたいなことをするわけです。灼熱地獄ですね。去年40℃越える日が続いたときは、みなダウン寸前でした」

 C子さんが昨年、一番過酷だったのは関西のある屋外の住宅展示場のアニメショーだった。

ひらパーのキャラクター「トランプ」に山口さんは入っていた。着ぐるみの重さは約15㎏(同園ポスターより)

「40℃を超えると暑すぎて、なかなかお客さんも集まらない。もともと11時に始める予定だったのに、主催者が『お客さんの入りが悪いので遅らせます』とか平気で言うんです。アニメキャラたちは蒸し風呂状態のテントのなかで、10分近く待っているんですよ。どんなに辛かったか……。その結果、お風呂が大好きという設定の少女キャラの担当女性が倒れたんですよ。

 さすがに中止にするのかなと思ったら、同行していたイベント代理店のかたが『僕が入るから続投する』と言い出した。でも、背の高さからしても男性にはできない。だから役の担当者を玉突きで変更して強行しました。イベンターがやりたいと言えば、キャラクターの体調が悪くてもイベントを中止にすることはない。しかもお客さんの手前、倒れた女性をテントから出さず、蒸し風呂の中でずっと寝かせていました。辛いことは外、人前には出さないという業界の不文律なんです」

 熱中症対策にイベント前日には十分な睡眠をとることを心がけるよう主催者側から言われているが、実際にはできないという。

「キャラクターショーって朝6時に新大阪駅集合とかで、そこから揃って車に乗り込んで現場に向かうんです。そうなると朝3時とかには起きないといけないわけです。現場に着いたら、通し稽古をやります。それで夜まで働いて、事務所に戻ってからは洗濯もやらないといけない。洗濯や乾燥という着ぐるみのメンテナンスは念入りにしないと次の人に迷惑がかかる。大抵終わる時間は21時を越えますね」(同前)