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連載近田春夫の考えるヒット

“日本一稼いだヒップホップアーティスト”は櫻井翔!? 「嵐20周年ベストアルバム」で気づいたこと――近田春夫の考えるヒット

2019/08/29

『5×20 All the BEST!! 1999-2019』(嵐)

絵=安斎肇

 デビューは'99年であったかと今回再認識させられた格好の嵐ではあったが、とりあえず歌詞カードをパラパラとやるだけでも――20年の歴史だ――結構色々な情景が脳裏に浮かんでくるものである。

 それはひとり嵐というグループの範疇にとどまらない。

 ところで、このアルバムの中でなんといっても思い出深いのはやはり『A・RA・SHI』だった。あの♪あらっし~の響きがいいんだか悪いんだか。未だに耳について離れないのは、どうやら担当の若者も一緒みたいでしたですね。

 懐かしんでいるうち、作者馬飼野(まかいの)康二の息の長いキャリアなどについても、あれこれ思いを致すこととなった。

 和製ポップスにニューミュージック、そしてjpopと、'70年代から今日にいたるまでの“洋風歌謡曲”の歴史を辿る時、馬飼野さんの存在意義は(たとえば筒美京平さんなどと比べると)、これまであまり語られてこなかった気もするのだが、嵐に絞っただけでも、キャリアに大きく貢献する作品を少なからずものしていることが、今回の選曲ラインナップからもよくみてとれる。いわゆる職業作曲家としては、jpop以降に出てきた人たちと明らかに異なるスタンスを貫きながら、今聴いても決して古びることのない作風は、唯一無二といっていい。いや、このように“ポップス的な雰囲気を持つ歌謡曲”をサクッと書き上げることの出来る音楽家の名は、馬飼野康二の他にチャート上などでもうほとんど見ることがなくなってしまった! と書くほうがいいか? てな具合で、この歌詞カード、なにかと“読みがい”があるのだ。

5×20 All the BEST!! 1999-2019/嵐

 そうした文脈に於いて目がいったのが櫻井翔の健闘ぶりだ。今回のベスト盤中、11作品にラップ作詞で名を連ねる。今時のジャニーズはというと、所属する男の子たちは基本的に踊ったり歌ったり、パフォーマンス専門職の印象が強く、“書き”は“ソロ活動時における堂本剛”や山下智久などごく少数に限られるだろう。ここまで恒常的に関わってみせた売れっ子は、櫻井翔ぐらいではなかろうか。

 いずれにせよ嵐の音楽スタイルの変遷に焦点を絞ると、櫻井翔というラップ作詞家を擁していたことは――こうして立て続けに曲を聴いてみると――ことのほか大きな意味を持つものだったのかも? と考えさせられた。そのあたりも、このベスト盤の聴き処のひとつなのやも知れぬ。

 それにしても、その印税たるや相当な額にもなるはずで、ひょっとするとよ、櫻井翔は“日本で一番稼いだヒップホップアーティスト”ってぇことにもなるのかしらん(笑)。

 そうだ。そういえば櫻井翔ってZeebraの慶応(小学校)の後輩じゃんね。じゃ、二人して母校の教員のていたらく(文春の記事参照)についてでもラップしてくれたら笑えね? その時は俺も元ラッパーの先輩(!?)として駆けつけるからさぁ……。で、そこまで揃ったらあとは是非ともUZIにも声はかけたいものだ。

5×20 All the BEST!! 1999-2019/嵐
(J Storm)1999年デビューの嵐。2009年『ARASHI 5×10 All the BEST! 1999-2009』を出して以来、10年ぶりとなるベストアルバム。耳にのこる最初期の「A・RA・SHI」(1999)、「SUNRISE日本」(2000)をかわきりにして、映画『ハチミツとクローバー』エンディングテーマ「アオゾラペダル」(2006)、ゼクシィCMソング「愛を叫べ」(2015)、日本テレビのリオ五輪テーマ「Power of the Paradise」(2016)、櫻井翔によるラップ歌詞の入った新曲「5×20」など、CD4枚組、合計64曲を収録する。

今週の激熱インテリジェンス「最近暑いけど、日本と韓国との間のいざこざもヒートアップしているね。そこでオレが注目しているのは、この10月に予定されている消費税増税よ。安倍政権はリーマンショックレベルのむにゃむにゃがあれば延期するって話だったよね」と近田春夫氏。「日韓貿易ショックというネタは、十分消費増税延期の名目となると思わない?」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。
https://www.youtube.com/channel/UCgRQWiHgyv3k4qhF9

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出典元

「韓国と徹底的に白黒つけろ」安倍VS.文在寅

2019年8月15・22日号

2019年8月8日 発売

特別定価460円(税込)