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連載近田春夫の考えるヒット

日向坂46とTWICE、JはJ、KはKのサウンドなんだなぁ――近田春夫の考えるヒット

2019/09/06

ドレミソラシド』(日向坂46)/『Breakthrough』(TWICE

絵=安斎 肇

 昨今の女子アイドルには、勿論現象としての側面を無視してはその本質を語り得ないところもあるだろうが、そこから純粋に音楽だけを抽出というか選り分けて、“ならではの傾向”などにフォーカスを絞って話をすることも無理ではないだろう。ただそうした行いが果たして意味をなすのかについては、今少し議論を待つ必要もあるかとは思う。

 というのも、我が国における彼女たちを支える殆どの層の動向を眺めれば、とりあえず“出れば買う”が大方の反応(すなわち盲目的な献身)なふうに映らなくもなく、作品内容を吟味してから買う買わないを決めるなんてェ人種はごく一部、マイノリティーに属するに違いないと――少なくとも俺には――見えてしまうからだ。本当に何を出そうが売れちゃうのかどうか、要するにブームを支える熱狂的ファンにとって、楽曲への評価は、マジ二の次三の次のマターなのかどうか。何度もいうがそこんとこは純粋に好奇心として知りたいのヨ。なので、超人気な子たちに、もうこれ以上酷いのはありえない! という楽曲でも一度あてがって、売り上げ関係の実験などしてくれやしませんでしょうかなぁ。やってみる価値“業務的”にもあるのでは? って僕は真摯に(笑)信じてるんですけども……。ただ、問題は「酷い」の解釈に絶対基準がないことだ。がしかし、だからこそそういうオーダーでコンペでもやれば――僕も参加したいな――スゲーのいっぱい集まってきそうじゃんさ。それ全部まとめてアルバムにしたら聴いてみたいでしょ? 売れるよ多分。あっ。僕プロデューサーの才能あるのかもォ……とかなんとか茶化すのもこの辺にして、さて。今週は日韓人気女子アイドルの新曲対決だ。

ドレミソラシド/日向坂46(ソニー)欅坂46のアンダーグループが、今年3月に「日向坂46」と改名してデビュー。2作目。

 あらためて思うのは、サクっと聴こうが、やはりJはJ、KはKのサウンドと知れることだ。それはひょっとすると、音を通じて伝えたい/訴えたいこと、大袈裟にいえば文化/哲学の差の話になるのやもしれぬが、たとえば、それぞれ双方のトラックに用いられているシンセ音源の選択/調整などにしても、その音色によってどういった景色/印象を聴き手の内に喚起させたいのか? ベクトルは決して同じではないだろうと思った。

 まぁそのあたりは主観的な領域ではある。皆様におかれましては、出来れば二曲のイントロでも聴き比べていただき、判断願えれば幸いです。

 ところで、今週の選曲とは直接に関係もないのだが、ずーっと気になって仕方がなかったことをひとつだけいわせてほしい。例の新潟の問題だ。色々本人考えるところもあるのだろうが、結局秋元がダンマリを決め込んじゃったのは、なんか後味がよくないというかスッキリしないものが残るよ。そう感じているのは決して俺ひとりでもあるまい。

Breakthrough/TWICE(ワーナー)2017年に日本デビューした多国籍メンバーによるK-POPガールズグループ。

 まだ遅くはない。ここはひとつ記者会見など開いて、是非自身のコトバで世を納得させて欲しい。俺、逃げてる感じがするのが、イヤなのよね。

今週のポジティブシンキング「NGTの件だけでなく、吉本しかり日韓問題しかり、ことしは世界至るところでパンドラの箱が次々と開いているね。ここまできたら令和元年はパンドラ元年ということで、もろもろ大オープン大会といきたいね」と近田春夫氏。「雨降って地固まるっていうしさ、一度みんなスッキリしたほうが、前向きになれるんじゃないかな」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。
https://www.youtube.com/channel/UCgRQWiHgyv3k4qhF9

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出典元

進次郎が捨てた「女子アナ彼女」

2019年8月29日号

2019年8月21日 発売

定価440円(税込)