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連続直撃 「代議士の妻」が国会議員になる時

2019/09/09

 小泉進次郎と滝川クリステルの電撃婚で益々注目が集まる「代議士の妻」。一昔前は「内助の功」ばかりが求められた世界に今、地殻変動が起きている。思いがけず自らがバッジを付けた3人の妻に本音を聞いて見えてきた、「女性活躍」時代の新たな女性政治家像とは。

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 自民党衆院議員の小泉進次郎は8月7日夜、神奈川県横須賀市の自宅前でタレントの滝川クリステルとの結婚を発表した際、こんな理想論を口にしていた。

官邸で電撃発表 ©共同通信社

「私の選挙に妻がバリバリ出てくることはないと思います。もっと楽にしてほしい。『政治家の奥さん』って言うと、きっと大変よね、そりゃあんたも(結婚)できないよねと言われてきました。そういう世の中の見方を変えなければ、政治家になろうという人も出てこないし、政治家が幸せを語ることもできなくなる」

 実際、永田町の現実に目を向けると、今までなかった動きがそこかしこで起きている。

 7月の参院選では「代議士の妻」が出馬し、大激戦を勝ち抜くという番狂わせのドラマが相次いだのだ。

 こんにち、現職政治家の男女がめでたく結婚するケースはそれほど珍しくない。一方、国会議員の夫を「内助の功」で支えてきた妻が自ら選挙に立候補することは、急逝した夫の「弔い合戦」に担がれる場合を除けば、これまで稀だった。

河井案里参院議員 ©共同通信社

 参院広島選挙区(改選数2)で初当選した自民党の河井案里(45)は、首相の安倍晋三や官房長官の菅義偉に近く党総裁外交特別補佐を務める衆院議員・河井克行(56・当選7回)の妻だ。

政治家の奥さんって、江戸時代みたいな世界ですよ

 選挙の余韻が冷めやらぬ頃、広島まで河井に会いに行くと、彼女は自身の結婚生活を赤裸々に語り出した。

「政治家の奥さんって、江戸時代みたいな世界ですよ。3歩下がって影を踏まずという感じ。ずだ袋みたいなネズミ色の服を着て、ぺたんこの靴を履く。私は背が高いので、主人の同僚のセンセイから『お辞儀の時は膝を曲げてみなさい』とアドバイスされました。結婚当初は若かったので、『ゲゲ、そこまでするのか』と、けっこう落ち込みましたよ」

 宮崎県出身の河井は学生の頃から政策立案に興味があり、首長になりたいと思った。その頃の友人には、当時の総理の息子・橋本岳(現衆院議員)や、後に「代議士の妻」になった女性も複数いる。河井は大学院にも進み、高名な経済学者に師事した。自民党の宏池会が実施した候補者公募の面接を受けたこともある。

 その後、転機は27歳で訪れた。

 国の研究機関で働いていた河井は知人の紹介で今の夫と知り合い、結ばれて広島市に引っ越した。相手は2000年の衆院選で落選し、当時は浪人の身だった。