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プロ棋士が将棋を指せなくなったら……ベストセラー闘病記『うつ病九段』がコミックに

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 棋士生活30年目にして、先崎学(せんざき・まなぶ)さんを突然襲った病魔――「うつ」。

 世間が藤井フィーバーで沸く中、突然の休場を余儀なくされ、リハビリを兼ねて綴った闘病エッセイのコミカライズ「マンガ うつ病九段」が文春オンラインで連載中です。

2017年9月からすべての対局を休場

 原作の先崎学さんは「羽生世代」の一人で、軽妙なトークと味わいのあるエッセイの名手としても知られる人気棋士。1987年に17歳でプロデビュー後、1991年に第40回NHK杯戦で同い年の羽生善治前竜王(当時)を準決勝で破り、棋戦初優勝を果たしています。棋戦優勝2回、A級在位2期という実績の持ち主で、2014年には九段に昇段します。

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 ところが、2017年7月にうつ病を発症して、同年9月からすべての対局を休場しました。そして、1年間の闘病を経て2018年6月、順位戦で復帰を果たしました。

 マンガ家は河合克夫(かわい・かつお)さん(@osuwari)。「原作はいわゆる闘病記ですが、すごく深刻な辛さが描かれるなか、そこはかとないユーモアが滲む文章で、その辺のバランスがうまく漫画になればいいなと思っております」。  

誕生日の翌日に異変が起きた

ノリノリで演歌を歌う先崎さん。

 47歳の誕生日を迎えた先崎さん。家族と外食し、カラオケに行き、楽しく余裕のある生活を送っていました。しかし翌日……

自分の体に違和感を覚えます。

 全く疲れが取れていない上に、ほんのりと頭が重いのを感じます。

 1週間経っても治らず、症状は重くなるばかり。寝起きが辛く、起きているときは沈んだ気分が続きます。そして本格的におかしいと感じたのは、対局中のこと。

対局中の先崎さんの頭の中。河井さんの表現力に注目です。

「対局中に全く集中できない」。思考がまとまらず、読みもせずにふらっと指してしまいます。