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紀子さま53歳 はにかむ「川嶋紀子さん」から「皇室顔」になられるまでの30年

2019/09/11

 秋篠宮妃紀子さまが9月11日、53歳になられた。皇嗣妃として初めて迎えたお誕生日。宮内記者会からの質問に文書で答える形で、心境を明かされた。

 小室圭さんとの結婚が延期されている長女の眞子さまについては、「現在、長女は、さまざまな思いを抱えていると思います」とした上で、「このような状況で、長女の気持ちを推測するなどして現状や今後についてお伝えすることは、控えたいと思います」とされた。

 また長男・悠仁さまについては、初の海外旅行となったブータンでのエピソードとして「英語での説明も懸命に理解しようとしていました」などとお答えになった。

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悠仁さまのお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

 子育てに、公務に、忙しい日々を送る紀子さまだが、一方で批判的な報道も後を絶たない。

 林真理子さんはそういった状況を憂いて、こう書いていた。

〈いつのまにか紀子さまがヒール役を担わされてまことにお気の毒である。ご婚約の時の、愛くるしく清楚な「紀子ちゃん」を知っている者にとって、昨今の「皇室顔」となられた紀子さまにはあまり親近感がわかない。それでもいつのまにかヒール役を負わされていて、私は憤っているのである。〉(「週刊文春」8月15日・22日号)

「皇室顔」という表現に、うならされた。なるほど、昨今の紀子さまのメディアを通して見る表情は、確かにいつも同じようだ。口角は上がっているのに笑ってないような、笑おうとしているのに楽しくなさそうな。つまり無理をしているような、無理を強いられているような。

紀子さま ©文藝春秋

 皇室という存在そのものが、「紀子ちゃん」をそうさせている。林さんはそのことを指摘しているのかも。そんな深読みまでしてしまった。

大きな肩パッド入りの服が当たり前の時代に

 かく言う私も、「愛くるしく、清楚な『紀子ちゃん』」を知っている世代だ。1989年9月、ご婚約内定後の記者会見に現れた、23歳になったばかりの川嶋紀子さんをよく覚えている。はにかんだような笑み。上げた前髪を紺のバレッタで留め、パールのネックレス。大きな肩パッド入りの服が当たり前の時代にあって、紺のワンピースはパフスリーブだった。

1989年9月12日、記者会見を終えた礼宮さまと川嶋紀子さん(当時) ©JMPA

 記者から「紀子さんは礼宮さまが初恋の人ですか」と聞かれると、礼宮さまの方を向いて「申し上げてよろしゅうございますか」と尋ね、「そうでございます」と答えていた。学習院大学の1年上の先輩と出会い、好きになって結婚する。そのうれしさがひしひしと伝わる会見だった。

 紀子さんの父は学習院大学教授で、一家は3LDKの「学習院第5共同住宅」に住んでいた。しかもそこにはテレビがないと報じられた。ゆっくりと丁寧な言葉遣いも珍しく、世の中は直ちに紀子さんを「究極のお嬢さま」と認定した。バブルの浮かれた時代に、皇室に嫁ぐべくして嫁ぐ人だなあと思ったものだった。