東芝は、2月14日正午、予定されていた2016年4~12月期の決算発表を延期。16時から開始予定だった会見は大幅に遅れることとなった。

 日本の名門企業、東芝が崩壊しようとしている――。記者たちの誰もが、ただならぬ空気を感じていた。「血のバレンタイン」を迎えた東芝のドキュメント、第二弾。

経営陣を待つ報道陣 ©大西康之
入場する綱川社長 ©大西康之

右から綱川氏、佐藤氏、平田氏、畠澤氏 ©大西康之

最初に綱川社長が「決算発表ではなく、監査法人のレビューを受ける前の当社としての見通し」と断った上で、2016年度第3四半期及び2016年度業績の見通し、並びに原子力事業における損失発生の概要と対応策」について説明。

減損を発表した資料 ©大西康之
口火を切った綱川社長 ©大西康之

18時45分 質疑応答

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Q ウエスチングハウスに内部通報があって決算発表を延期するというが、なぜギリギリまでわからなかったのか。

佐藤)
内部通報の調査をしていたらギリギリになった。内部統制に関わる問題であり決算の数字に大きく影響するものではない。

Q 内部統制に関わる不備とは何か。

佐藤)
調査中なので何も言えないが、ウエスチングハウスの社長宛にウエスチングハウスの内部から通報があったということだ。

Q 米国で建設中の原発4基のコストオーバーランで61億ドルの損がでたわけだが、中国の4基も含め、工事はどれだけ遅れているのか。完成のめどは立っているのか。中国でもコストオーバーランが発生しているのではないか。

畠澤)
米国のボーグル、VCサマーは当初計画から3年遅れており、2019年から2020年をめどに完成する見通し。中国の三門と海陽も3年遅れているが、三門の1号機は近く燃料装荷のテストに入る。

Q 中国でも3年遅れたなら、米国と同規模のコストオーバーランが出ている可能性がある。それは誰が負担するのか。

畠澤)
それは中国の電力会社とウエスチングハウスの間の話し合いになる。

Q 原発事業でこれ以上の減損が出る可能性はないか。

綱川)
S&Wを買収した時、原子炉と原発建設を一体化することで30%のコスト削減が可能と考えたが、実際には効率が上がらなかった。今回は効率が上がらない前提で61億ドルの損失を計上した。リーズナブルな数字だと思う。

苦しい回答がつづく ©大西康之

Q 決算発表が1ヶ月ずれ、自主規制法人に内部統制の改善レポートを提出するタイミングと重なった。再上場できると思うか。

佐藤)レポートは粛々と作成しており、提出のタイミングと今回の決算発表延期は関係ない。上場できるかどうかを判断するのは自主規制法人であり、我々ではない。

Q 2006年のウエスチングハウス買収は正しい経営判断だったと思うか。

綱川)
この数字を見ると正しい判断だったとは言えない。

Q なぜ成長性のある半導体事業を売ってまで、原発事業を継続するのか。原発事業を続ける上で政府の支援は必要か。

綱川)
原発事業の80%を占める燃料・サービス事業は利益が出ている。お客様への義務を果たすという意味でも継続する。

Q 半導体事業のマジョリティーを売却するというのは、マジョリティーを買いたいという相手があるという意味か。

綱川)
具体的な交渉はこれからだが、様々なオファーは頂いている。