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韓国に向けられた北朝鮮ミサイルが九州に? 専門家も驚いた「変則軌道」新型の正体

【福岡、玄海原発も射程圏内】伊藤俊幸・元海将インタビュー

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 国際, 社会, 政治

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射が続いている。10月2日には「北極星」系列と推定される潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が発射され、島根県東方沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。今年に入って、11回目の発射となる。

新型ミサイルの発射を喜ぶ金正恩委員長(8月7日) ©共同通信社

「今回発射したミサイルは、2017年に金正恩がミサイル施設を視察した写真の中に、壁にこれみよがしに貼ってあった『北極星-3』と表題がつけられていたミサイル画像の完成形だと思われます。当時は『次はこれが発射されるのではないか?』と注目していたものですが、2年後の10月に発射に至ったということなのでしょう。想定の範囲内のミサイルでした」

 そう語るのは、在米防衛駐在官、海幕指揮通信情報部長を経て、海上自衛隊呉地方総監を務めた元海将、伊藤俊幸・金沢工業大学虎ノ門大学院教授だ。

想定外の新型ミサイル「北朝鮮版イスカンデル」

 ただ、今年に入って発射されたミサイルの中で、伊藤氏が「正直なところ、その事実を知ったときは驚いた」と語るものがある。それが、ロシアの「イスカンデル」に類似した新型の短距離弾道ミサイルだ。

伊藤俊幸氏 ©文藝春秋

「これまで北朝鮮は、多くの種類のミサイルを発射してきましたが、実のところ日本や欧米の軍事関係者にはすべてが"想定内"でした。そのミサイルが、どの国の技術を基にしていて、どんな会社から流失した技術が使われているかまで、すべて把握していたのです。さらに、次にどの程度の性能のミサイルが飛ぶかも想像がついていました。

 2017年に『アメリカ本土に届く』と宣言した『火星』シリーズという長距離弾道ミサイルについても、1964年に失脚したフルシチョフ時代のソ連が開発した『RD250』というエンジンがやっと手に入って搭載されたのだなと、その部品まで手に取るように分かっていた。ところが、今年になって発射されたミサイルには、想定外の新型のミサイルが含まれていた。その予想していなかったカードが、『北朝鮮版イスカンデル』なのです」