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吐き気、あぜん、不道徳……ノーベル文学賞の選考が猛烈に批判された理由

 2年分まとめてという、異例の発表となった今年のノーベル文学賞。昨年は内輪の性暴力スキャンダルにより発表を見送ったためで、今年は権威ある賞の名誉回復を期したが、またも激しい非難を浴びている。

 原因は、今年の受賞者にオーストリアの作家、ペーター・ハントケ氏(76)を選んだことだ。

 選考理由についてスウェーデン・アカデミーは「人間の経験の見過ごされがちな部分や特異な面を、巧みな言葉遣いで探求した」と説明。発表を受けて日本のメディアも「ドイツ語圏の最もすぐれた作家」「既存の言葉や制度に闘いを挑んでいる」などと、好意的な紹介にほぼ終始した。

 だが欧米では、ハントケ氏の“ある側面”を厳しく問う論調が目立つ。旧ユーゴスラビア内戦でイスラム系住民7000人以上が殺害された「スレブレニツァの虐殺」(1995年)の否定論者としての顔だ。

ペーター・ハントケ氏は「勇気ある決断だ」とコメント

 英紙ガーディアンなど多くのメディアは、ハントケ氏の持論に言及。イスラム系住民が虐殺をでっち上げ、セルビア人部隊を陥れたと主張してきたことを紹介した。

 さらにハントケ氏が2006年、ミロシェビッチ元ユーゴ大統領の葬儀に参列し、「真実はわからないが、私は彼に寄り添う」などと弔辞を述べたことも伝えた。ミロシェビッチ元大統領はアルバニア系住民殺害などの「民族浄化」に関わったとされ、国際戦争犯罪法廷で「人道に対する罪」に問われ公判中に死去している。