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「男の子の成績不良」という世界的な傾向から考える“男子校の存在意義”

 OECD(経済協力開発機構)が行う「PISA」(学習到達度調査)というものがある。2006年、ニュージーランドでは合計点の平均で女子が男子よりも30点高かった。その結果を受け、男女の成績を詳しく分析した研究結果がのちに発表された。

「男の子はなぜ女の子より劣るのか」という衝撃の記事

「男子生徒の成績は、共学校より男子校のほうが良好であることがニュージーランドの研究で明らかになった。オタゴ大学の研究所は、男子校と女子校、そして男女共学の学校に通う生徒や学生900人を対象に成績の比較調査を実施した。それによると、男女別学で中等教育を受けている生徒では、男子生徒の成績が女子生徒をわずかに上回った。一方、共学校では女子のほうが男子よりも良い成績を収める傾向が顕著で、この傾向が25歳くらいまで続いた。研究をまとめたシェリー・ギブ氏は、『男女別学のほうが成績に男女差が生まれないという主張を裏付ける結果となった』と述べた。同研究は豪誌『オーストラリアン・ジャーナル・オブ・エデュケーション』に掲載された」(ロイター通信、2009年8月25日付)。

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OECDによる「PISA」(学習到達度調査)の得点。読解力は大差で女子が高く、数学は男子が高い。科学はあまり差がない

 2006年2月15日付の『ニューズウィーク 日本版』に「男の子はなぜ女の子より劣るのか」という衝撃的なタイトルの記事が掲載された。同年1月に発売されたアメリカ版の「The Trouble With Boys(男の子たちの問題)」という記事の翻訳である。

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「小学校で男子が学習障害とされる割合は女子の約2倍」「高校で学校が嫌いという男子は1980年から2001年の間に71%も増えている」「30年前、大学生に占める男子の割合は58%だったにもかかわらず、現在は44%になっている」など、学業において男子が苦戦しているというデータが示された。そして導かれた論旨は、1972年に連邦政府が学校における男女の機会均等を法的に定めて公立学校での男女別学を禁止して以降、男女の発達や志向、得意分野の違いを無視してまったく同じ条件で教育されたことに問題があるのではないか、むしろ女性向けの教育になってしまったのではないかというものだ。