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連載近田春夫の考えるヒット

TEAM SHACHIの“冒険”、ラストアイドルの“王道” 女子アイドル用聴き比べ――近田春夫の考えるヒット

2019/11/03

『Rocket Queen feat. MCU』(TEAM SHACHI)/『青春トレイン』(ラストアイドル)

絵=安斎 肇

 今週は女子アイドル二題でご機嫌を伺おうという趣向。

 しかし女子アイドルと呼ぶようになったのはいつからなのだろう。私の記憶では、かつては女性アイドルというのが一般的(あ、アナウンサーもだね)だったような気もするのだが……。ちなみにボーイズとはいっても、“男子アイドル”の方は聞かないよね。

 思えばアスリートの世界は昔っから、みんな男子女子だった。なるほど、アイドルも“選手化”が進んだということなのやもしれぬな。たしかに「勝ち負けを競う」が今の女子アイドルの何よりの“レゾンデートル(存在理由)”って感はありますもんね、ハイ。

 さて俺は、昨今のアイドル界とはあまり接点/縁のない音楽家を自認しているが、一度、秋元康が声をかけてくれたので、ラストアイドルの構成員Good Tearsのプロデュース仕事に参加させてもらったことがある。

 もうひとつは先週のこと。新人グループ5組の勝ち抜きコンテストというのがあって、ありがたや、私にも審査員としてお声がかかった。

 イベントの主催は、TEAM SHACHIの事務所であった。

 てな経緯アリでの、今週の“対決”だ。そりゃあ双方に気を使わぬかといったらば、人情として嘘になりますけど、心を鬼にいたしまして(笑)聴き比べに専念する所存です。

Rocket Queen feat. MCU/TEAM SHACHI(ワーナー)人気ゲーム『ロックマン』とのコラボ企画。楽曲提供者には、実力者をとりそろえた。

 数少ないライブ現場経験の私とはいえ、それでもそこで実感させられたものはある。やはり、アイドル楽曲には一定の傾向/縛りは存在する。観察すればその原因は、どちら様の客層も、体質のほとんどおんなじようにも映る男性ファン達が大半を占めていて、ステージに求めるものが基本的にひとつだからである。あっ、そうだ。ファンの場合は“男子”を用いないのは何故なの? おっと話がそれた。

 先週、会場で目の当たりにしたのは、音楽の内容やパフォーマンスの出来などの吟味は二の次、いやそっちのけで、とにかくご贔屓にあらん限りのエネルギーを注いでは応援する、中年男達の姿だった。そして、かかる行動により拍車がかかるようにという目的で作られているのがアイドル用楽曲、すなわちその実態は「応援歌」なのだと合点したのであるが、面白いと思ったのが、スポーツ競技とは違い、応援される人自らが応援歌を熱唱するという構造である。

 ただ何にせよ応援歌である。そこに作品/表現としての個性を求める人はいないだろう。ひねりのある応援歌など、誰も欲していないのだという現実をイヤというほど知らされ、本当に良い勉強になった。

 そうした観点において、今回のTEAM SHACHIの楽曲は、かなり本格的にコンピューターゲームの音であったり、単なる応援歌ではないぞという意気込み充分の企画だ。

 果たしてこの冒険、吉と出るのか? 要注目である。

青春トレイン/ラストアイドル(ユニバーサル)人気オーディションバラエティ「ラストアイドル」出場メンバーによる。

 ラストアイドル。

 一方こちらは、正攻法の極致。王道感や風格といったもので勝負の感じだろうか? まさに対照的な二曲であった。

今週の養生訓「ものすごい台風が近づいてくるっていうんで、NHKが窓ガラス対策について説明していたんだけどさ、“ヨウジョウテープ”っていわれて、にわかには判らなかったよ。ネットで調べたら“養生”だってね。オレは養生といったら貝原益軒の方が先にきちゃうものでさ」と近田春夫氏。「とりあえず、被害地域の方には、お見舞い申し上げます」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

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