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新iPadは「iPad Air」にそっくりだけど安いナゾ 「上位モデルと何が違うの?」3つのポイント

新iPadは「iPad Air」にそっくりだけど安いナゾ 「上位モデルと何が違うの?」3つのポイント

“用途”さえ決めれば迷わない「iPad」選び

2019/10/25
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 この9月にAppleから新登場した第7世代「iPad」は、画面が一回り大きくなったほか、これまで上位モデルしか対応していなかったオプションの「Smart Keyboard」が使えるようになり、ひとつ上位の「iPad Air」と機能的には遜色がなくなりました。

 現行のiPadシリーズのうち、ホームボタンがない狭額縁デザインで、かつApple Pencilも専用のモデルが用意されるプロユースの「iPad Pro」とは、外見や価格からして明らかに別物ですし、カメラなど個々のスペックを見ても共通点を見つけるのが逆に難しいほどで、選ぶに当たって迷う人はまずいないでしょう。

現行のiPadシリーズ(10~11インチの製品のみ)。中央が新発売の「iPad(第7世代)」、左が「iPad Air(第3世代)」、右が「11インチiPad Pro」

 しかしミドルクラスに相当する「iPad Air」と今回の「iPad」は、ホームボタンも含めた外見がそっくり、ボディの面積も同じ、またApple PencilやSmart Keyboardなどオプションも共通で、それでいて最低価格は1.5倍以上違っています。いったいこの価格差はどこから来ているのか、首をひねる人も多そうです。

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 今回は、これら3製品の実機を用意し、主に「iPad Air」と「iPad」の両製品について、スペック表だけでは分かりにくい違いをチェックしていきます。

その1)実は「画面」が似てるようで全然違う?

 画面サイズは、「iPad Air」が10.5インチ、「iPad」は10.2インチと、0.3インチの差があります。それでいてボディサイズが同じなのは、上下左右のベゼル(ディスプレイを囲む縁の部分)の幅が違うためですが、両者を隣に並べて比較するならまだしも、単体で見た場合、違いはほぼ分かりません。この両製品のどちらかを選ぶ時、画面サイズが決め手になることは、まずなさそうです。

手前が「iPad Air」、奥が「iPad」。画面サイズは違うものの、ベゼルの幅を変えることでボディの横幅を合わせていることが分かります。ちなみに縦幅も同様です

「表示品質」と「フルラミネーションディスプレイ」

 もっとも、両者の表示品質を見比べると、意外に違っていて驚かされます。具体的には、反射防止加工が施された「iPad Air」に対して、「iPad」は外光の映り込みが激しく、天井の蛍光灯などが映り込みがちです。色合いについても、黒がしっかりと深みのある「iPad Air」に対して、「iPad」は色のメリハリがなく、全体的に淡いイメージです。

左が「iPad」、右が「iPad Air」。黒の引き締まり方が左右でまったく異なることが分かります。また左の「iPad」は、画面に天井が反射して映り込んでいます

 また「iPad」はガラスと液晶をほぼ一体化させた「フルラミネーションディスプレイ」に対応していません。それゆえ、Apple Pencilで線を引くと、「iPad Air」は線とペン先がほぼ密着するのに対し、「iPad」はガラスの厚みの分だけ線とペン先が離れて見えます。グラフィック用途で緻密なイラストを描く場合、これはかなり致命的です。

左が「iPad」、右が「iPad Air」。両者ともガラス表面にペン先がくっついた状態ですが、「iPad」はガラスの厚みだけ浮いたように見えるのに対し、「iPad Air」はフルラミネーションゆえ隙間がほぼありません