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2019/10/25

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 国際, 芸能

東方神起、BTSも無縁ではいられない

 韓国ではSNSなどでの心ない罵詈雑言や誹謗中傷を、「悪プル」と呼ぶ。これは「悪」と「リプライ(reply)」を組み合わせたネットスラングだ。早くからSNSで親近感のPRに努めてきた韓国の人気タレントらは、後を絶たない「悪プル」に悩まされ続けてきた。

 今回の悲報に絡み、現地メディアでしばしば名前が挙がっているのがチェ・ジンシル。かつて国民的スターとして絶大な人気を博しながら、2008年に39歳で命を絶った女優だ。彼女もやはり「悪プル」に苦しめられた末の自殺だった。親しかったタレントが闇金からの借金を苦に自殺した件を巡り、金を貸していたのはチェ・ジンシルだとの根も葉もない噂がしつこく流布されたせいだ。

 2007年には、女優チョン・ダビン、女性歌手ユニが相次いで自殺。いずれも整形などを巡る無責任な書き込みが一因とされている。また近い例では2017年に自ら生涯を閉じた男性グループSHINeeのジョンヒョンも、アンチファンなどの心ないコメントに悩まされていた。

「悪プル」被害は、防弾少年団(BTS)、東方神起といったトップクラスのK-POPスターも例外ではない。メディアの表舞台では賞賛を浴びる彼らだが、SNSの一角では「犬野郎」「伝染病患者」「ネットの差別集団」「売国奴」「セックスアイドル」など根拠のない罵詈雑言が常に降り注ぐ。BTSは2018年11月、所属事務所を通じて厳重な法的対処を宣言。同年7月には東方神起のユンホが、MBCテレビのバラエティで「悪プル」への対処法を語っていた。ユンホによれば「自分に関心があるんだと思うことにしている。時間が経てば、ファンになることも多い」という。

 ソルリ自身は、「悪プルの夜」と題された韓国JTBCのバラエティ番組にMCとして出演していた。芸能人たちが自身への悪質な書き込みを読み上げて率直に語り合う番組で、その書き込みマナーなどについても触れられていたが、ソルリの自殺で打ち切りが決定した。

立ち入りを規制されたソルリの自宅 ©時事通信社

「ソルリ法」で悲劇は終わらせられるか

 ソルリの死を受け、韓国では「悪プル」を取り締まる新たな法案が議論されている。今回はサイト運営者に違法な書き込みを防止する義務を課す、などが主な骨子だ。

 だが韓国ではサイト運営者に本人確認の義務を課すなどした「ネット実名制」を2007年に導入したものの、2012年に違憲判決が下されて廃止に向かった経緯がある。「表現の自由に抵触する」というのが理由だ。その経緯を経て今回どこまで踏み込めるのか、効果を疑問視する向きは多い。

「悪プル」を「サイバー名誉毀損・侮辱罪」など既存の法律で摘発することもできなくはない。だが現地メディアによれば「数十万ウォン(数万円)台の罰金刑で終わる場合が大多数」ともいわれ、抑止力には限度があるようだ。

 今回の法案は、「ソルリ法」とも呼ばれる。連鎖が続く悲劇を終わらせられるのか、当事者たちは悲痛な思いで議論を見守っている。

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