昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

《カリスマ出所で山口組は一つになるか》半グレに流れる若いカタギと68歳ヒットマンが意味する「ヤクザの現在地」

ノンフィクションライター・溝口敦氏インタビュー

2019/10/28

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

 山口組の抗争が激化している。分裂した「神戸山口組」の中核組織「山健組」の事務所の近くで、「六代目山口組」傘下の組員が射殺事件を起こし、ヒットマンが68歳だったことが話題を呼んだ。その1週間ほど後の10月18日には、分裂前から山口組のナンバー2を務める髙山清司若頭(72)が約5年4カ月ぶりに出所するなど、にわかに山口組の周辺が騒がしくなってきた。

 内部抗争が続く中、いま何が起ころうとしているのか。長年暴力団取材を続けてきたノンフィクションライターの溝口敦氏に聞いた。

◆ ◆ ◆

出所した髙山若頭とは?

出所し組事務所に入る髙山清司若頭(左端) ©時事通信社

 山口組はいま、6代目の司忍組長の「六代目山口組」、そこから分裂した「神戸山口組」、「任侠山口組」という3つの組織に分裂した状態にあるのは、ご存じの通りかと思います。この混乱した状況は、いまだ収拾のメドもついていません。

 この深い対立のキーマンが、今回出所してきた髙山若頭です。彼の人物像から、現在の山口組の状況を俯瞰してみましょう。

 この髙山という人物は、山口組の中でも名古屋に基盤を持つ「弘道会」の出身。同じ弘道会出身の司組長は就任直後から銃刀法違反の罪で約5年4カ月服役しましたから、いまの6代目の山口組の形を作ったのは立ち上げ直後から運営を担っていた髙山若頭といっても過言ではありません。片目が閉じられた様子から“独眼竜”とも呼ばれ、組織運営能力が高く、信賞必罰の強権的な組運営を行ってきました。

「やられたらやり返す」という暴力団の掟を重視する強硬派としても知られています。68歳のヒットマンの事件も、今年8月に起きた襲撃事件の報復といわれており、「やり返すなら、目前に迫った髙山若頭の出所前に」と考えられた結果の事件である可能性も高いのです。

 しかし、いくら髙山が大物だとしても、彼の出所がここまで騒ぎになるのは、いくつかの要因があります。その一つは、山口組の後継者争いが関わっていることです。

 髙山は恐喝罪で起訴された後、裁判の途中に上告を取り下げる形で服役しています。そのことから、「わざわざ大人しく自ら服役したのは、服役後に7代目を継ぐという黙約が司組長との間であったのではないか」と外部から見られたのです。