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「即位の礼」 サービスの“平成流”から伝統の“昭和流”へ復古した理由

 黒い束帯に身を包んだ2人の侍従が、高御座(たかみくら)の紫の帳(とばり)を左右に開けると、天皇がお召しになった黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)の深い黄色と、帳の内側の朱色が露わになった――。

 10月22日、午後1時過ぎ。天皇が即位を宣言し、安倍首相がお祝いの寿詞(よごと)を述べると、宮殿には万歳を唱和する声が響き渡った。つつがなく行われた「即位礼正殿の儀」だったが、この帳が開かれるまでには、令和皇室を担う“ご兄弟”の強いご意思があった。

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天皇陛下は“雨男”!?

 180以上の国・地域から集まった賓客と日本の招待客約2500人が見守る中、皇居・宮殿で、天皇の即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が執り行われた。舞台となったのは、宮殿の中でいちばん格式が高い「正殿松の間」に置かれた高御座。正殿を北に見て東側の豊明殿、南側の長和殿、西側の回廊に参列者が座する形となった。

 

「台風20号から変わった温帯低気圧の影響で、前夜からあいにくのひどい雨でしたが、平成の『即位礼正殿の儀』と違い、今回は屋外に参列者席を作らず、すべて屋内席にしたのが幸いしました。実は陛下は皇太子時代から“雨男”と有名で、『結婚の儀』も雨天だったくらいなので、屋外席を最初から作らないようにしたのは陛下のご配慮だったのかもしれませんね(笑)」(宮内記者)

2つある「平成と違う点」

 約30分に及んだ式典だが、平成と違う点は大きく2つある。

「一つは参列席の配置です。屋外席を作らなかった分、前回は『松の間』から死角となるため椅子が置かれなかった場所や、遠すぎるため席が置かれなかった豊明殿後方のスペースにも席を作りました。最大200インチにもなる大小30台のモニターを各所に置いているので、肉眼では見えずとも、十分鮮明に高御座の陛下の様子を見ることができました。

 しかし、より重要なのは席の配置ではなく、儀礼のあり方に直接かかわるもうひとつの“変更”のほうでした」(同前)