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佐々木が風を活かすなら、この変化球

 投球に影響を及ぼす“マリン風”は、佐々木投手のような速球派の投手に有利なのか。それとも不利に働くのだろうか。

「ストレートは、向かい風を受けて空気抵抗でボールが少し浮く感じになって武器になるでしょう。それ以上に期待されるのが、佐々木の持ち玉であるフォーク。マリン風で一段と鋭く落ちるんです。1995年に当時オリックスの野田浩司投手がマリンスタジアムで1試合19奪三振の日本記録を出しましたが、浜風であおられた落差の大きいフォークボールが冴え渡った結果でした。

 変化球については、海風による変化球の曲がり幅の感覚をしっかり掴んで、自分の思い通りの所に投げることができれば有利。逆にいつまでも慣れないと、ボールが先行してカウントを整えられず苦しむ。そういう投手を沢山見てきました。どのくらい曲がるかといえば、私の得意な変化球だったシュートを右打者に投げると、打者が当たると思ってバットを振っても、急に打者近くで曲がって空振り、ボールは打者の右足に当たることもありました」

海がすぐそこに迫るZOZOマリンスタジアム ©文藝春秋

 佐々木投手は、今夏の岩手大会決勝を肩の負担を考えて回避、韓国で開催されたU-18W杯では韓国戦に先発するも19球で降板するなど、デリケートな印象が付きまとう。「マリン風」は、投手の精神面や投球フォームに影響は与えないのだろうか。

「投手というのは非常に繊細で、ユニフォームが風になびくだけで集中力が途切れる要因になります。佐々木投手は足を高く上げて投げますが、私も左足を上げた投球動作の途中で風に煽られてバランスを崩し、一塁側に倒れながら投げたことが何度かありました。速球派の投手はちょっとした煽りでコントロールが乱れたりします。

 また、風が強いとどうしても砂埃が立って砂が目に入ったり、投げようとした瞬間に打者や審判からタイムが掛かったりします。緊迫した試合展開では特にマウンドで集中力を保つのが大変でした」