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BEAMS×週刊文春 FASHION is SCANDAL!!

「じつはフライトスーツが嫌い」宇宙飛行士・野口聡一さんが着る“アメカジ宇宙服”とは?

「じつはフライトスーツが嫌い」宇宙飛行士・野口聡一さんが着る“アメカジ宇宙服”とは?

2019/12/25
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業界内外を騒がしている異色のコラボ増刊「ビームス×週刊文春」。そのなかから、民間企業として“宇宙服”をプロデュースするビームスの開発秘話をご紹介します。

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「ビームスが国際宇宙ステーション滞在ウェアを製作」。10月1日の発表は世間を驚かせた。ビームスが放った前代未聞の巨大プロジェクト。小誌は宇宙飛行士の野口聡一、ビームス社長の設楽洋、開発を担ったデザイナーなどキーマンを徹底取材し、全貌を明らかにする。

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ビームスが“宇宙服”を作るきっかけとは?

「私はユーリ・ガガーリン少佐の『地球は青かった』という言葉から大きな影響を受けた世代です。JAXAさんからこのプロジェクトの話を頂いたとき、その当時の気持ちを思い出して『もちろんやります!』と即答しました」

 ファッションの聖地・原宿。そこに本社を構える株式会社ビームスの設楽洋社長(68)は、かつてない壮大なプロジェクトを聞いたときの印象をこう語った。

 ビームス、宇宙へ行く――。

YouTubeチャンネル「BEAMSBROADCAST」でビームス宇宙服の開発動画『宇宙服はじまる』を配信中

 2018年4月、正式名称・「ISS滞在用被服プロジェクト」と呼ばれるこの構想はスタートした。ISS、すなわち国際宇宙ステーションで着用できる“宇宙服”(船内で着用する被服)を、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とファッションブランド・ビームスのコラボによって総合プロデュースする――それが、このプロジェクトである。

 冒頭に設楽が触れたガガーリンが、世界初の有人宇宙飛行を達成したのは1961年のこと。赤色でダボッとした宇宙服に身を包んだロシア人パイロットは、漆黒の空間に浮かぶ惑星の姿を評して「地球は青かった」という名言を残した。51年生まれの設楽は、少年時代にその言葉を聞き宇宙への憧憬を強く持つようになったという。

「この言葉には、『地球は1つであり、平和でハッピーであるべき』というメッセージも込められていると思います。実はこの感覚は“ハッピーライフ”を提供したい、というビームスの企業理念にも繋がっているものです」