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ビール大好き・茂木健一郎が語る「なぜ日本人は一番搾りを愛飲するのか」

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脳科学者として多くの著作をもち、また、テレビ・ラジオなど各メディアで活躍する茂木健一郎さんは、実は大のビール好き。2019年5月のリニューアル以降、好評を博し、過去10年の「一番搾り」〈缶〉8月・9月期では最高の販売量も達成した「一番搾り」について、キリンビールマスターブリュワーの田山智広さんと、存分に語ってもらいました。

「また飲みたい」と思えるビールの要素

茂木 絶好調みたいじゃないですか、リニューアルしてから。

田山 おかげさまで8月、9月は過去10年間で最大の販売量でした。とくに家飲み需要に合った缶ビールが好調で、1-11月と、前年比プラスで推移しています。

茂木 それはすごい。ビールの味っていろいろあるけど、僕の好きなビールの条件は最初の一口がおいしいことと、ずっと飲み続けたくなる味であること。そのふたつをどちらも満たしているのが一番搾りだと思うんです。

田山 僕が今日言いたかったことをすべて言っていただいた(笑)。キリンビールでは、究極の理想はまた飲みたいと思うようなビールだと思っているんですよ。もちろん一口目のおいしさも大事なんですけど、一息おいてからもまた飲みたいって思えるような。

茂木 そう思ってもらうにはどういう要素が必要なんですか?

田山 一口目のインパクトはあるんだけれども、それが一度サッと引いていく感覚。そうすると、あ、もう一度味わいたいなという気持ちにつながる。

茂木 それは興味深いですね。ビール好きとしては何口目でも最初の一口と同じような感動があるのが理想なんですよ。

田山 そのとおりです。キリンビールはラガーの時代からそこを大事にしているんです。ドイツ語でバイタートリンケンという言葉があって、日本語でいうと何口でも飲みたくなるということ。そんな風に、何口でも飲み飽きない味をずっと追求してきています。

新・一番搾りは“薄化粧”

茂木 今回のリニューアルではとくにどんなところが変わったんですか?

田山 たとえでいうと、厚化粧を薄化粧に変えた感じです。化粧が濃いほど味のインパクトはあるし、一口目のおいしさもわかりやすいのですが、僕らが目指しているビールは飲み飽きない味わいなので、飲み続けたいと思う方向性に進化させようと。化粧を薄くすることで出てくる個性ってあるじゃないですか。煌びやかさや派手さは薄まるかもしれないけど、それと引き換えに本来持っている素の良さが浮き立ってくるような。ビールでいうと、麦のおいしさそのものが素直に感じられるもの。

茂木 より一番搾りらしくなったと。

田山 おっしゃるとおりで、もともと一番搾り製法という「余計なものを使わない」ことがキーワードの商品ですから、その個性、ブランド本来の良さをとことん追求して、さらに最新の技術を詰め込んだらこんなにおいしいものができましたよっていうのが今回のリニューアル。一番搾りらしさをより際立たせた正統な進化といえますね。

茂木 キリンビールらしいですね。“本当においしいビールとはこういうものである”っていうのを見せてくれる。食中のビールとして本当にすぐれていると思いますね、一番搾りは。ビールの味はしっかりしているんだけど、料理の邪魔をしないんですよ。

田山 料理とのバランスは永遠の課題です。単体で飲んでもおいしいし、いっしょに飲めば料理だけで味わうよりもおいしくなるというのが理想です。

茂木 さっきおっしゃっていた、いったん味わいが引くというのが食中酒として優れたところなんじゃないですかね。いつまでも口のなかに残っていると、料理と喧嘩しちゃうんで。

田山 そうですね、でも味わいが水みたいに完全に消えてしまうのもダメなんですよ。その塩梅が難しい。

茂木 やっぱり日本のモノづくりってすごいですよね、その繊細さが。ここのところジャパニーズウイスキーが世界的に高い評価を受けていますけど、ジャパニーズビアも今後もっと注目される気がするんですよ。学会でよく海外に行くんですけど、昔は食事が和食の時に日本のビールを合わせる感じだったけど、最近は食事のジャンルと関係なくおいしいから日本のビールを飲もうとなる。

田山 それはうれしいですね。

茂木 世界に飛躍する兆しを感じますね。

田山 人の舌って、すごく繊細なんですよね。子どもだって舌が肥えていますから。僕らはその繊細な味覚を基準に作るから、間違っても料理の邪魔をするような味にはしないし、食事のおいしさも引き立てるし、そのうえでビールそのものの存在感も考える。絶妙なバランスのうえで成り立っているんです。

年末年始に“一番搾り”は必需品

茂木 あとやっぱりね、日本人独特の、初物を貴ぶ感性とも一番搾りは相性がいいと思いますね。一番搾りの麦汁だけを使っているという贅沢さ。

田山 確かにそれはあると思いますね。おいしさって舌とか喉ごしだけじゃなくて、見た目も音も感触も大事で。でもそれだけでもなくて、私はよく頭のおいしさと心のおいしさっていうんですけど、たとえば“麦芽100%のビールです”って言われたときのおいしさと、“糖質ゼロです”って言われたときのおいしさって違うじゃないですか。

茂木 そりゃそうだね。

田山 だから情報や知識ってすごく大事だと思っていて。初物がおいしいっていうイメージが日本人にはあるから、一番搾りという名前にも反応する。そのへんの脳科学的なカラクリを知りたいですね。

茂木 それはわれわれが使う言葉でいう“プライミング刺激”ですね。たとえばビールの場合、飲むときの香りや喉ごしがメインの刺激ですけど、ビールの色だったり、泡だったり、プシュッと缶を開ける音だったり、飲む前の刺激がプライミング。この刺激があることによってビールを飲むというメインの刺激がより強く深く感じられるという現象があるんです。一番搾りというのはどういう製法で作られているのか、どんな原料を使っているのかという情報とか、どんなコマーシャルなのか、事前にインプットされる情報が全部関係しているんです。それがプライミング刺激になって総合的なおいしさになる。そういう意味では、ビール一本で文化をいっぱい味わっている感じで、本当に贅沢なことだなって思います。普段はこんなこと考えながら飲んでいませんけどね(笑)。

田山 茂木さんでも脳の動きを考えながら飲むわけじゃないんですね(笑)。

茂木 普段はもっとシンプルです(笑)。ビールを飲みながら、夕暮れの空を眺めて幸せだな、なんて贅沢な時間なんだろうって感じで飲んでいますから。缶ビール一本で空間がかわるし、見えるものも時間の流れも変わる。僕にとってはビールそのものが幸せの象徴です。

田山 それはうれしいですね。

茂木 とくに年末年始にビールは欠かせませんね。飲み続けたいと思えるってことは、親戚や友人で集まって長い時間をいっしょに過ごすときにもいいですね。ゆっくり飲むのに向いているし、この黄金色がお祝いの席にふさわしい。麦の色であり、豊穣の色であり、これは人の心を引き付けると思います。この黄金色と白くてきめ細かい泡のコントラストを見るだけで幸せを感じる。年末年始は一番搾りが必需品です。

茂木健一郎/もぎけんいちろう 1962年東京都生まれ。脳科学者。近著に『脳 HACK 大全』(PHP 研究所)
田山智広/たやまともひろ 1962年神奈川県生まれ。キリンビールマスターブリュワー。「一番搾り」を監修

提供:キリンビール

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text:Naoko Arai photo:Shiro Miyake