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スパイ容疑で拘束2カ月の北大教授 中国が「保釈」を決めた舞台裏

 9月に北京を訪問し、中国当局に拘束されていた北海道大学の岩谷將(のぶ)教授(42)が11月15日に解放され、無事帰国した。

 岩谷氏は中国社会科学院近代史研究所の招聘で9月3日に北京入りした。8日、国家安全省の関係者が岩谷氏の滞在先ホテルを捜索し、国家機密に関わる資料を押収した。取り調べに対し、岩谷氏は過去にも同様の資料を収集していたことを認め、中国の刑法と反スパイ法に違反している疑いが濃厚になった。

 中国当局によれば、容疑を認めた岩谷氏に反省を示す文書を提出させ、保釈したという。

李克強首相にも要請していた ©共同通信社

「首相要請で進展」(16日付産経)などと日本政府の手柄を強調する向きがあるが、それは過大評価だろう。日中間には拘束事案が起きた際、4日以内に相手側に通告する規則がある。外務省や首相官邸は9月13日までに事実を把握したはずだが、日本のマスコミが嗅ぎつけて10月中旬に報じるまで1カ月以上も沈黙してきた。

 共産党関係者は、「今回は、多分に中国の事情による解放だった」と明かす。

 中国が外交カードを狙い揺さぶり目的に敵対国の人物を拘束するケースは少なくない。たとえば昨年12月、華為の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者がカナダ当局に逮捕された直後、中国当局に拘束された元外交官のマイケル・コブリグ氏などだ。