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時代の変化をつかまえればブランドは不滅です

武田コンシューマヘルスケア 代表取締役社長 野上真理さんに聞く

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2018年9月、武田コンシューマーヘルスケアのトップに就任した野上麻理さん。「アリナミン」「ベンザ」をさらに伸ばしていくという野上社長の戦略とは。

――社長就任のオファーを受けたときの感想は

野上 どうしてもやりたいと思いました。わたしのキャリアは、外資系日用消費財メーカーのマーケティングからスタートしたんです。ブランドを軸にしたマーケティングというのがわたしの専門であり、いちばん好きな分野です。当社は武田薬品グループでコンシューマーヘルスケア事業を担っており、「アリナミン」「ベンザ」という強いブランドを持っていますからね。それが魅力でした。

 それと、前職が医療用医薬品の会社でしたので、もう一度コンシューマーマーケティングに戻りたいなという気持ちが強かったんです。ヘルスケアの世界であれば、商品をお買い求めいただいたお客様に喜んでいただけるわけですし、一生活者として自分も関わることができますからね。

――社長から見て、自社ブランドの伸びしろというのは

野上 アリナミンにしても、ベンザにしても、いろいろな角度から分析すると、相当伸びしろがあります。製品だとライフサイクルで使われなくなるものがたくさんあるんです。たとえばフィルムのカメラがそうですよね。でも、ブランドというのは、時代の変化に合わせていくことができれば、絶対に失われないと思っているんです。もちろん時代の変化とともに、ブランドとして変えていくべきところと、絶対に変えてはいけないところを見極めなければいけません。

 いちばんいい例が、昨年出た口栓付アルミパウチドリンク「アリナミンメディカルバランス」です。昭和29年に誕生したアリナミンは今年で66歳。わたしはアリナミンこそ日本の疲労対処のブランドだと思っています。アリナミンは形を変えて、目、肩、腰など、いろいろな疲労の症状を解決してきました。「アリナミンメディカルバランス」は、若い人たちに、“ここでエネルギーを入れて、今日一日頑張ろう”というシーンで使っていただこうと開発されたものです。時代にあわせて商品のスタイルは変わっていきますが、世界中に疲労がある限り、アリナミンはなくなりません。

野上麻理 Mari Nogami
1969年生まれ。92年、大阪外国語大学英語学科卒業。外資系企業のマーケティング部門でキャリアを積み、2018年9月、武田コンシューマーヘルスケア代表取締役社長に就任。ご主人と二人のお子さんは大阪在住。毎週金曜日、新幹線で家族のもとへ。
野上麻理 Mari Nogami
1969年生まれ。92年、大阪外国語大学英語学科卒業。外資系企業のマーケティング部門でキャリアを積み、2018年9月、武田コンシューマーヘルスケア代表取締役社長に就任。ご主人と二人のお子さんは大阪在住。毎週金曜日、新幹線で家族のもとへ。

――武田コンシューマーヘルスケアでのダイバーシティの取り組みは

野上 武田薬品では社長のクリストフ・ウェバーが、新任管理職の30%を女性にというダイバーシティの目標値を設定しています。弊社の女性社員の比率は27.4%ですが、女性で部下をもっている割合は1割に満たない状況です。女性の登用をこれから進めていかなければなりません。問題の一つは、女性自身、マネージャーになることに対しての抵抗感が強いことです。わたし自身、管理職になったとき、どういうふうに部下を指導したらいいのか悩みました。女性のロールモデルがいなかったからです。しかし、ロールモデルがいないというのは、自分が勝手に目の前の世界を狭めているだけじゃないのかと気づいたんです。その後、会社にも助けられて、成長することができました。

 女性たちにも自信を持ってもらいたい。そして男性の上司、幹部の方々も、女性をどうサポートするのかしっかり考えてもらいたい。男性側の意識と女性側の意識、その両方を変えていかなければ。

――最後に、野上社長が考えるリーダーの条件とは

野上 一つ目はスピード感と一貫性ですね。今の企業人というのは市場環境のスピードについていくことを求められます。相当のスピード感をもってトップが動かないとだめです。状況が変わることで判断は常に変わりますが、判断のバックボーンは変わらないという一貫性が大事です。もう一つは、リスクを恐れずに、大きな判断ができるということです。それも、広く意見を聞いたうえで決断する。トップダウンなんですが、決して独りよがりではない。そこが大事だと思っています。一般的にトップであればあるほど、耳触りのいい話しか上がってこない。それに対して、いかに自分に耳触りの悪い話を持ってこられる環境をつくるか、常に意識しています。


photograph:Takashi Shimizu  design:Takayoshi Ogura