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『マチネの終わりに』映画化対談 福山雅治が「かなり悩みました」と明かすシーンとは?

原作者・平野啓一郎と語る“押し切れなかった恋の思い出”

福山 試写会でお会いしたとき、平野さんが『まさか自分の映画で泣くとは思いませんでした』とおっしゃって、『やった!』と思いました。

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 累計発行部数が50万部を突破したベストセラー『マチネの終わりに』(平野啓一郎著)が映画化された。

 天才クラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)と、国際ジャーナリストの小峰洋子(石田ゆり子)。ともに40代という、微妙で繊細な年齢に差し掛かった二人は出会った瞬間に惹かれあう。しかし、二人は運命に翻弄され、互いへの気持ちに踏み込まないまま別々の道を歩むことに。6年間でたった3度の邂逅の中で育んだ愛の行方を描いた大人の恋愛物語だ。

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 パリ、ニューヨークの美しい景色を舞台に撮影された映画について、平野さんは開口一番「思わず涙がこぼれてしまって……」とつぶやき、福山さんが嬉しそうに応えた。和やかな雰囲気で始まった対談は、福山さんが平野さんの出身地のイメージについて明かす意外な方向に進み……。

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平野さんの出身地・北九州市のイメージは?

福山 ところで、平野さんが育った北九州市って、長崎生まれの僕にとってのイメージは不良として別格な土地なんです。

平野 まあ、その通りです(笑)。

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福山 北九州ナンバーのヤン車が長崎に入ってくると、「キタキューが来たぞ!」ってビビりまくってました(笑)。そんな土地から、こんな美しい文学を書く人が現れた。

平野 美輪明宏さんも長崎出身でしょう。言われましたよ、「どうして北九州からこんな作品を書く人が」って(笑)。