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元KARAク・ハラ 死の5日前“最後の単独インタビュー”で一瞬見せた「えっ?」という表情

2019/11/30
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「しばらく会えなかったので、今日は本当にうれしいです」

 以前からのハラさんのファンなら周知のことだろうが、彼女の日本語はかなり流暢だ。細かい言い回しが怪しくなることはあっても、聞くにせよ話すにせよ、日本語での意思の疎通にまったく問題はない。ペラペラ立て板に水という感じではないが、頭の中で言葉をしっかり組み立てながらしゃべっているのがわかる。この日も、会場に詰め掛けたファンへの

「みなさんに会いたかったのにしばらく会えなかったので、今日は本当にうれしいです」

 という挨拶に始まり、再出発にあたって日本で実現させたいことを聞かれると、

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「いつかドームツアーをやってみたいですね」

「テレビのMCとか、バラエティー番組への出演とか、ラジオのパーソナリティーにも興味があるんです。そのためにも、もっと日本語がうまくならないと」

 と明るく抱負を語っていた。さらに好きな日本の食べ物を聞かれた時、「『なか卯』の豚キムチ定食」(日本食ではないが……)と、「『松屋』とか『すき家』のねぎ玉牛丼の、卵抜き」(たっだら、普通の牛丼にサイドメニューの青ねぎを追加すればいいのでは?)を挙げていたのはまあ御愛嬌だが、日本での彼女の気取らぬ暮らしが垣間見えた、ほほえましいシーンでもあった。

ハイタッチ会には長蛇の列が

 もちろんこのイベントでは、彼女の新曲「Midnight Queen」がプロモーションビデオ映像とともに流された。KARAの日本デビューシングル「ミスター」のスタッフが再結集して制作したものだ。さらにカップリング曲の「Hello」では、彼女自身も日本語作詞に参加したという。

「私を待ってくれていた日本のファンのみなさんへの思いを込めて、『ただいま』という歌詞を入れました」

ハラさんの公式インスタグラムより、最後の投稿

 トークショーに続いて行われたハイタッチ会は、「Midnight Queen」のCDを購入したファンを対象としたものだったが、彼女の前には復帰を待ちわびたファンで長蛇の列ができた。それだけでなく、吹き抜けになっていた1階の会場から見上げると、上階にひしめく買い物客も手摺越しにこのイベントを覗きこんでいる。

 そんな盛況ぶりを横目にしながら、私はイベント開始前に名刺交換をした女性と言葉を交わしていた。新たに日本でのハラさんの所属事務所となったプロダクション尾木の取締役兼チーフマネージャーである。石坂浩二、三田佳子、仲間由紀恵といったビッグネームが在籍し、グループ会社には元AKBの高橋みなみ、渡辺麻友らも抱える老舗事務所。その取締役が、加入したばかりの歌手のトークショーレベルの催しにわざわざ立ち会うのは、かなり異例のことだ。