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《顔面にM16連射》山口組抗争激化のキーマン“超武闘派“高山清司若頭の素顔

ノンフィクションライター・溝口敦氏インタビュー

2019/11/30

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

 2つ目は、組織の高齢化です。神戸で事件を起こした68歳のヒットマンは、そんな状況を象徴していたといえるのかもしれません。そもそもは先述の通り、8月に弘道会系の組員が襲撃されたことをうけて山健組に復讐したという事件ですが、2人射殺という罪の重さからして、実行犯である丸山俊夫の年齢では生きて刑務所を出られない公算が高い。獄死する覚悟です。

 もともと、ヤクザの世界では高齢のヒットマンは珍しくありません。衣食住が保証される刑務所は、老残の暴力団組員にとっては最後のセーフティネットともいえる存在。家族はともかく、最低でも自分一人の身は養える。最近はその意味合いが強くなっている。昔であれば組のために刑務所に入ると、出所後に組は功労者として温かく迎えてくれました。でも、いまは出所後に組が残っているかもわかりません。

 この苦境で、若いカタギが組に入ろうとしても、あえて組員にはせず、フロント企業で活動させるように指導をする組もある。さらに若者の側も、規制に縛られた暴力団より半グレ的な生き方を選んでいく。この2つの筋の交差するところが、今回の68歳のヒットマンだともいえるのです。

 3つ目は、暴力団の名がついている以上、暴対法を始めとした法令によって何をするにも制限がついて回ることです。とはいえ、「半グレ」のような単なる犯罪者組織になるのは、ヤクザとしてのプライドが許さない。任侠山口組の織田組長らが主張するように、「反社会的勢力とは呼ばれたくない」という意識が強い。これだけ追い詰められても、やはり暴力団は辞められないのです。

ヤクザがいなくなればいいのか?

溝口敦氏 ©文藝春秋

 今後、山口組は縮減していくでしょう。余程のスポンサーでも現れない限り、その先にあるのは「緩やかな死」です。そして確実に他の暴力団も縮んでいく。街の揉め事を仲裁する「顔役」のような道はあるかもしれませんが、今の広域暴力団という形は維持できないでしょう。

 そう言うと、全てが良い方向に進むように聞こえるかも知れませんが、暴力団がなくなったからといって犯罪集団がなくなるわけではありません。日本の暴力団のように、堂々と看板を掲げている犯罪組織は世界的には珍しく特殊です。これからは目に見える暴力団という犯罪組織から、半グレのように地下化して目に見えない組織に変容していく。新しい犯罪組織の時代になっていくのです。

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