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【懲役18年確定】有名ブロガーHagex刺殺 ネット没入の無職中年が”ステルステロ”に及んだ理由

2019/12/02

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

 昨年6月に人気ブロガー“Hagex”こと、岡本顕一郎さん(当時41)が刺殺された事件の裁判は、12月5日に刑が確定した。松本英光被告(43)を懲役18年とした福岡地裁の判決に対し、検察、弁護側双方が期限の12月4日までに控訴しなかった。

 ネット弁慶の復讐――。そう呼べる事件なのかもしれない。福岡市の起業支援施設で2018年6月、IT関連セミナー講師の男性が刺殺された事件の裁判員裁判が11月、福岡地裁で開かれた。

 殺人や銃刀法違反などの罪に問われたのは福岡県在住の無職・松本英光被告(43)。

松本英光被告 ©共同通信社

 昨年6月24日午後7時ごろ、同市内の起業支援施設に侵入し、午後8時ごろ、1階のトイレで、面識のない岡本顕一郎さん(当時41歳)の首や胸などをナイフで刺して殺害した罪に問われた。

「自分はネットリンチを受けている」

 初公判が開かれたのは11月11日。出廷した松本被告は、短髪で清潔感のある、ごく普通の青年風だ。検察側が起訴状を読み上げ、岡崎忠之裁判長が認否を問うと、「間違いありません」と起訴事実を認めた。

 続いて検察側の冒頭陳述が始まる。浮かんだのは、自宅に引きこもり、ネット空間に没入する中年男の姿。一方で、被害者となった岡本さんは、今をときめくIT関連のサイバーセキュリティー会社に勤務しながら、「Hagex」のハンドルネームで活動していた有名ブロガーだった。

©iStock.com

 松本被告が裏の世界の住人なら、岡本さんは表の世界の住人だ。2人はインターネットという仮想空間に裏の扉と表の扉から入り、面識もないまま遭遇した。そして、その偶然の接点が、事件の発火点となった。

 冒頭陳述によると、松本被告はネット上の自身の投稿に対する他の投稿者たちの書き込みから「自分はネットリンチを受けている」と受け止めた。その中に岡本さんがいた。

 松本被告は他の投稿者から「ネット弁慶」と呼ばれ、「低能先生」という不名誉なあだ名を付けられた。被告自身が「低能」という言葉を使って他人を罵倒する投稿をしていたことから、匿名の投稿者から揶揄するあだ名を返されたようだ。松本被告の投稿には、他にも「ゴミくず」「死ね」などと過激な表現が頻出していた。