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包丁を抜いて、無我夢中で部屋を出て、エレベーターを降りて

「パニックになり、あのときのことはあまり覚えてません。『一緒に死のう』『私のこと好き?』って聞かれて、好きと言わないと怖いから、『好き』と答えました。本当のところ、そのときの感情は今でもよくわからなくて、僕も人間だから、あれだけ尽くしてくれて情もあったし、男なんで女の子としてそういう感情もあった。

 でも助かりたいという思いが強かったんだと思います。包丁を抜いて、無我夢中で部屋を出て、エレベーターを降りて(マンションの)エントランスで倒れました。自分でも『よくそこまで行けたなー』と思います。あとでお巡りさんから聞いたのですが、ゆのちゃんの部屋はもちろん、エレベーターの中も血の海だったそうです。『救急車呼んで』と叫んだことも覚えています」

病院の窓からゆのちゃんが入って来る夢も

マンションのエレベーターホールに横たわる琉月さん

 病院に運ばれ、生死の境を彷徨った琉月さん。助かる確率は「2割だった」と後に医師から告げられたという。

「病院で目が覚めたときは物凄く身体が痛かった。刺されたことが凄いショックで誰とも話したくなくて、カウンセリングも受けました。病院の窓からゆのちゃんが部屋に入って来る夢を何度か見て、怖くなり部屋を替えてもらいました」

 傷ついた琉月さんを支えたのは店の仲間たちだったという。記者にホスト仲間への感謝の思いを口にした琉月さんは、一瞬声を詰まらせ、涙ぐんだ。

「店の仲間が入院中、毎日面会に来てくれたんです。肝臓とった(摘出した)こと告げると、『俺がお前の肝臓になるから』って。今でも僕がお酒が飲めないので仲間が酒を代わりに飲んでくれます。ここが僕の居場所なんだと思って、ホストを続けることにしました。今ではお客さんも戻ってきてくれて、何とかお店でやれてます」

琉月さん(Twitterより)