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なぜ安倍首相は「韓国より低成長」を認めないか

ドル建てで計算する一人当たりのGDPの順位はもっと悲惨だ。IMFのランキングでは3万9304ドルで、調査国中26位で韓国の3万3320ドル(28位)と肉薄されている。安倍内閣発足時の2012年(12月まで民主党が政権を運営していた)には4万8633ドルで15位だったから、なんと9000ドル以上減っているのだ。

ヨーロッパも低成長だが、それをさらに下回るレベル。ドル建てでマイナス成長の現状をもって、経済政策がうまくいっていると誰が言えるだろうか。

経済低迷の原因は首相らの「自分たちは絶対正しい」との思い込み

優秀なブレーンがつき、最大限の金融政策や財政政策を行いながら、こういうことが起こる背景には賢い人をバカにするメカニズムが働いているのではないか。

そのメカニズムが認知心理学で「スキーマ」と呼ばれるものだ。心理学の事典などでは、「かなり複雑で一般的概念についての知識の枠組み」と定義されている。

わかりにくいので例を挙げて説明しよう。

たとえばわれわれは足が6本ついている小さな生き物を見ると、それを初めて見ても「昆虫だろう」と思う。これは昆虫についてのスキーマがあるからだ。人間は、これまでの学習や経験をベースに思考をスキップして、「○○は××である」と瞬時に認知する。

セールスの経験を長く積んだ人の中に「あなたの話はよくわかりました」という応じ方を最初にしてくる人は、「結局は買ってくれない」というスキーマを持つ人がいるように。

認知心理学用語「スキーマ」のメリットとデメリット

学習であれ、経験であれ人間はスキーマを作ることで思考をショートカットして、勉強でも仕事でも処理能力が増してくる。その一方、スキーマがあると、ほかの思考ができなくなったり、ものごとを決めつけてしまったりという弊害もある。

実際、認知心理学者の研究では、いったんこのスキーマができてしまうと、それがその後の情報処理や思考に大きな影響を与えることがわかっている。一般原則としては、そのスキーマが正しいと信じるように働いてしまうのだ。