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連載この鉄道がすごい

JR・相鉄直通線はどこまで便利か、平日初日の「大宮行き」に潜入してみた

相鉄ユーザーの乗りこなしがすごかった

2019/12/07

genre : ライフ, , 社会, 経済

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 相模鉄道とJR東日本の相互直通運転が始まった。開業日の11月30日は土曜日だった。翌日はもちろん日曜日でお祝いムード。鉄道ファンや沿線の人々の乗り初めで混雑したようだ。

 しかし、通勤路線なのだから、通勤利用客の実態を見たい。そこで12月2日の月曜日、海老名駅7時24分発の「特急大宮行き」で新宿まで乗ってみた。

相鉄線の新路線図(プレスリリースより)

ステンレスの銀色車体、JR埼京線のE233系電車

 相鉄の海老名駅は改良工事中だ。現在のプラットホームは平屋で、改札口は線路の終端の南口に1カ所だけ。改良後はプラットホーム上に3階建ての駅舎ができて、2階コンコースの南北に改札口が2カ所増える。商業施設や保育所が整備されるという。

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かつてはすべて横浜行き、現在は大宮・新宿などが混ざる ©︎杉山淳一

 7時24分発のJR直通大宮行きは、改札口を入って左側の2番線から発車する。車両はJR埼京線のE233系電車だ。ステンレスの銀色車体に緑色の帯をまく。

 趣味的には「どんな線路構造だろう」と前面展望を注視したいけれど、たくさんのご同輩が動画サイトに投稿しているから、後でじっくり眺める。今日は乗客の様子と、発車直後にプラットホームに残る人、つまり、この列車に乗らない人の様子を見たい。先頭車に乗りたい気持ちをグッと堪え、最後部の隣の9号車に乗った。最後部の10号車は女性専用車だ。以前の女性専用車は4号車だったけれど、JRに合わせて変更した。以降は9号車の観察だ。

相鉄海老名駅に埼京線の電車が到着 ©杉山淳一

あえて通勤時間帯に乗ってみた

 ふだんの海老名駅の混雑具合を知らないけれど、乗車口の列は短く座れた。1番線には3分後の7時27分発の横浜行き急行が入線した。混み具合は、横浜行き急行がやや多め。極端に偏るほどではなかった。横浜へ行く人も、急ぐなら先発の特急に乗って途中駅で乗り換えるだろうし、乗り換えなしで座っていきたいなら急行横浜行きに乗るだろう。平日ダイヤ初日だから、今後、少しずつ乗り方の好みが反映されると思う。

 発車前に、「この電車はJR直通新宿方面行きです。横浜には参りません」というアナウンスが何度もあった。誤乗防止にとても気を配っている様子。しかし、ハッと気づいて降りる人はいない。アナウンスは他にも「二俣川でいずみ野線からの通勤特急横浜行き、西谷で各駅停車の横浜行きに連絡します」が繰り返された。皆さん賢く電車を選んでいる。発車直後の車内は座席がすべて埋まり、立ち客は20人ほど。各ドアのそばで2~3人が立っている。

JRの電車も、相鉄線内は相鉄デザインの案内が出る ©杉山淳一

 しばらく走ってかしわ台を通過。ここには相鉄の車両基地がある。通勤時間帯だからほとんどの電車は出払っているけれど、JRのE233系1編成が留置されていた。相鉄の基地にJR車両か。ああ、直通運転ならではの景色だ。