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「この偽造券なら(制作コストは)1枚10円前後でしょうね」

 しかし、こうしたホログラムも含め、実際には簡単に偽造することは可能で、「ホログラムだけで安心をしてはいけない」と某大手印刷会社従業員は説明する。

「多くの人はホログラム入りの模倣品を作ることは難しいと思っているようですが、実際は通常の印刷過程にひと工程を加えるだけで、そんなに難しいことではないんです。通常のホログラムが入っていない紙単体に比べるとコストは多少上がりますが、べらぼうに高くなるわけではない。この偽造券なら(制作コストは)1枚10円前後でしょうね。プロが見たら紙質や色合いなどで本物との違いは一目瞭然ですが、素人目にはわからないでしょう。それなりに高い完成度だと言えます」(同前)

 日向坂46の前身である「けやき坂46」時代から熱心に応援していたというファン歴4年のAさん(20代・男性・大学生)も被害者の一人だ。Aさんはシングルが出るたびにヤフーオークションやCDショップで50万円ほど握手券を買っているという。今回はCDだと1枚定価1900円するところ、ヤフオクで握手券は1100円だった。

Aさんはヤフオクで16万5000円で落札

 Aさんに話を聞いた。

「10月27日、いつものようにヤフーオークションで全国握手券を購入しました。150枚を16万5000円で落札し、券は3日ほどで届きました。この時はまだ偽造された握手券だということを知りませんでした。僕はCDに同封されている生写真も欲しいので、ショップなどでちゃんとCDを買うこともありますが、全国握手券を大量に購入したい時はやはり安価で購入できるヤフーオークションを利用しています。僕の周りでも当たり前のようにヤフオクやメルカリで同じように購入しています。まさかこんなことになるなんて……」

大量に届いた偽造握手券

「偽造券を使うってことは偽札を使うと同じようなこと」

 いざ握手会当日の11月3日、京都で開かれた日向坂46の全国握手会で、何も知らないAさんは握手券を使うと突然会場のスタッフに呼び止められた。

「まとめ出し(複数枚握手券を出すこと)をした後、運営から『ちょっと来てもらってもいいですか?』と呼び止められました。その時は何で呼ばれているか、まったく見当もつかなかった。握手会会場の2階にある別室に通され、運営の4人の方と話をすることになりました。運営の方から『申し訳ないんだけど、この握手券は偽造されたものだから使えない』と言われました。

 そして、『転売行為で出禁処分にします』と言われ、頭の中が真っ白になった。『偽造券を使うってことは偽札を使うと同じようなこと。犯罪だから』とも言われ、そこからは言われるがまま、《今後の乃木坂46、欅坂46、日向坂46のイベントに一切参加できない》という旨の誓約書にサインをしました。京都から帰りの新幹線では放心状態で、その後1週間、何も手に付かず大学にも行けなかったです。

 出品者への怒りは収まらず、《警察、弁護士に相談して法的措置を取る》と連絡をしました。すると《返金対応をします》と連絡がきた。出品者曰く、『10月19日に行われた幕張メッセの握手会会場で20代くらいの男性から突然声をかけられ、1枚600円で300枚の全国握手券を購入したが、偽造握手券だとは知らなかった』と。その後、実際に返金されたのですが、そこから音信不通になってしまいました。お金は戻ってきたけれど、握手会への出禁は解除されません」