昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

最後のセンター試験「迷走する英語試験」 なぜ日本人は英語コンプレックスを抱くのか

2020年の論点100

2020/01/17

 英語の大学入試「改革」が混乱を呼んでいる。2020年度から、GTEC、英検、ケンブリッジ英検といった民間の業者テストが「大学入試共通テスト」とともに新しく導入される予定だったが、試験の実施が2、3カ月後に迫った11月1日に急遽、導入が見送られた。文部科学省は今後、民間試験を活用することの是非も含め、2024年度を目処に新たな試験を開始することを検討していると報じられている。

 民間試験の活用については、導入の見送り前から数多くの課題が指摘されてきた。主なものでも以下の通りだ――試験機会の不平等(受検料が高額。会場も都市部に偏っている)。試験業者が自ら問題集作成や対策講座を行う「利益相反」(金をかけ「対策」すれば点数はあがるが、必ずしも英語力は身につかない)。診断を目的としたテストを選抜に使うことの弊害(テスト問題は頻繁にリサイクル。その流通を食い止めるのはほぼ不可能)。スピーキングテストの採点への不信。障害者への配慮不足等々。

©iStock.com

「民間業者に丸投げ」という欠陥

 根本にあるのは構造的な欠陥である。大学入試を民間業者に丸投げするというシステムそのものが問題なのだ。業者は採算がとれるかどうかを最優先する。受験生や、ましてや大学のことなど二の次だ。点数が出やすくして、受検者を増やそうとしたり、コスト減のために信頼度の低い採点者を採用したりする。他方で、文科省は試験については責任をとらない。にもかかわらず国立大学には半ば強制的に試験の活用を押しつけようとした。不正やトラブルがあっても、被害に遭うのは受験生や大学で、テスト業者は責任をとらない。このような歪みを抱えた制度では、いくら場当たり的な対応をしても次々に新たな障害が起きただろう。

 にもかかわらず、民間試験導入は強行されようとした。