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池袋は「埼玉県の植民地」から脱却できるか? 文化都市へと変貌を遂げる街の“最大の弱点”

再開発事業で渋谷・新宿に並ぶ街へと羽ばたけるか

2019/12/17
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 スクランブルだ、テラスだ、ストリームだ、フクラスだ、ソラスタだ、と続々再開発ビルの産声があがり近頃喧しいのが渋谷だが、渋谷と並ぶ代表的な副都心といえば池袋。地味ながらどっこい、池袋が最近がんばっている。

 池袋のイメージといえば「ダサい」が定番。おまけに治安が悪い、風俗街がキモい、道が汚い……。東京人の多くが池袋と聞いてなんとなく思い浮かべるのがこうしたあまり「よろしくない」イメージだ。

©iStock.com

 池袋は戦後の闇市の整備が遅れたことが最初の躓きだった。1950年代頃から駅周辺には木賃アパートが密集し、淀橋浄水場の跡地を超高層ビル群に変貌させた新宿や、東急電鉄という大地主により計画的かつ積極的に開発が行われた渋谷に対して、池袋は常に後塵を拝してきた。

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「埼玉県の植民地」と呼ばれる一大ターミナル駅

 それでも高度経済成長時代以降、拡大する人口の受け皿として池袋を起点とする西武池袋線、東武東上線沿線の人口が急増。池袋駅は都内に通勤する勤労者が乗り換える一大ターミナル駅へと成長してきた。JR駅別乗客数ランキングでも池袋駅は1日平均で約56万人が利用、新宿に次ぐ地位は不動のものだ。70年代には駅西口に東武百貨店、東口に西武百貨店という、なんだか道に迷いそうなアクセスながら大型商業施設が店舗を構え、沿線住民の消費を支えてきた。

池袋東口の西武百貨店 ©iStock.com

 だが、渋谷が東横線や田園都市線でお洒落でセレブなイメージを、新宿が中央線、京王線、小田急線、西武新宿線によって高級住宅街のイメージを作り上げていったのとは対照的に、池袋は埼玉県の住民が多く集まったことから「ダサイたま」といって揶揄されるイメージが重なり、「埼玉県の植民地」などと言われるようになったのだ。