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2020/01/02

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, スポーツ

「ここが僕の弱さだと思うんです」

 要するに、下位打線にチャンスの場面で打席に立たせ、打って自信をつけさせるために、併殺の恐れのある強攻ではなく、一塁走者を進めるだけのバントを選択したというのである。

 相手捕手は決して肩が強くなく、「盗塁」も考えられた場面だった。一塁走者は、50メートルを5秒台で走る俊足の佐々木で、走らせれば高い確率でセーフになっていたはずだ。國保監督はこう続けた。

「ここが僕の弱さだと思うんですけど、相手の弱いところを突く野球が、(高校野球として)果たしてそれで良いのか。そういうことを考えてしまって……。結果的に負けてしまったのだから、(采配は)良くなかったのでしょう」

報道陣に囲まれる大船渡の國保陽平監督  ©共同通信社

外野で敗戦を見届けた佐々木

 國保監督の迷采配はこの理解しがたい送りバントだけではなかった。大船渡は8回に4対4の同点に追いついたものの、延長10回に和田が力尽き、サヨナラ負けを喫した。リードされていた場面でも、延長に入った緊迫の場面でも、國保監督は佐々木や他の投手陣を準備させず、佐々木は右翼の守備位置から敗戦の瞬間を見届けた。國保監督は言った。

「高校野球は部活動であります。圧倒的に(佐々木の)ワンマンチームになりそうなところ、この春の大会ではチームの総合力を上げたかった。投手陣は佐々木朗希ひとりに頼らず、全員で戦おうという気持ちを固める目的もあった。まあ、(ひとりの投手しか起用しないまま)今日で終わってしまったんですけど……」

 チャンスで回って来た主軸に逆転を託すことよりも、力の劣る下位打線の奮起を期待する。日本中が注目する令和の怪物のワンマンチームにはならないように、控え投手にもチャンスを与え、チーム全員で戦おうと意識づける。