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就活で女子学生に「整形して出直せ」 2020年の韓国は女性差別を解消できるか

2020年の論点100

2020/02/02

 2019年は日本で韓国に対する関心が大いに盛り上がった年だった。日韓関係が極度に悪化するなか、文在寅(ムンジェイン)政権だけではなく、市井に生きる韓国の人々が何を考え、どう生きているのかにも注目が集まった。韓国の人々が日本を批判する背景には様々な理由があるからだ。

82年生まれ、キム・ジヨン 筑摩書房

 そんななか、18年末に韓国のベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が日本でも出版され、大きな話題を呼んだ。女性の生きづらい世界を生き生きと描いた本作は、韓国の人々が抱える「不安」をリアルに具現化してみせた。本作では秋夕(チュソク)(旧盆)の連休で夫の実家を訪れた主人公のジヨンに、実母が憑依して、なぜ夫の実家にばかり行くのかと不満を漏らす場面がある。韓国の女性たちは秋夕と旧正月の前になると憂鬱になる。夫の実家でひたすら料理に励まなければならないからだ。

韓国で「女性は男性に尽くす存在」

 私の知り合いも「夫の実家に着くなり、ジョン(韓国の天ぷら)をひたすら揚げ続けた。何も食べていないのに、油の匂いで何も食べたくなくなった」とぼやいていた。韓国の女性たちは「シアボジ(義理の父)」「シオモニ(義理の母)」という言葉に敏感になり、「シグムチ(ほうれん草)とか、シがつくものは何でも嫌い」という笑えない冗談も飛ぶ。本作は、韓国で、女性は男性に尽くす存在だと位置づけられてきたと指摘する。

「男尊女卑」とも言える世界があったため、韓国で慰安婦問題が浮上した時期も遅かった。1965年の日韓請求権協定締結当時、日韓の交渉当事者たちは慰安婦問題が存在することを知らなかった。元慰安婦が重い口を開いたのは91年。日本で、海外に売春に出かけて苦労した女性たちの姿を追った映画「サンダカン八番娼館望郷」が封切られてから17年後のことだ。元慰安婦が証言に至った背景には、韓国の市民運動が広がり、「女性の人権」にもようやく日が当たるようになった当時の社会の変化があったという。

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 もちろん、韓国が急速に男女平等社会に向けて進んでいるわけではない。ジヨンが秋夕で起こした事件は2015年秋のことだ。