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『アナ雪2』を前作と比べて観た“5つの戸惑い” なぜミニマムでパーソナルな物語は失われたのか

2019/12/19

genre : エンタメ, 映画

 現在公開中の『アナと雪の女王2』がエライことになっている。公開わずか10日間で興収40億円超え、4週目で70億円越え。7人のクリエイターがツイッターにあげた感想漫画をめぐるステマ騒動もなんのその。前作の興収255億円に届くかどうかはわからないが、100億円越えは余裕でイケそうな勢いである。そんな注目をおおいに集める『アナと雪の女王2』だからこそステマ騒動があれだけ盛大に取り上げられたともいえるし、良くも悪くも効果絶大なプロモーションとなったことは間違いないはず。

『アナと雪の女王2』ヨーロッパプレミア ©getty

 そこで気になるのが、肝心の中身も『2』が『1』を凌いでいるのかどうかだ。いそいそと劇場に足を運んで確かめてきたが……『1』の残像を引きずってヒットした側面が強いのでは、という気がしてならなかった。

自分とエルサを重ねられない 壮大すぎるストーリー

 舞台となるのは前作から3年後。触れたものを凍てつかせる力をコントロールできるようになったエルサは女王としてアレンデール王国を治め、妹のアナとその恋人クリストフらと共に平穏な日々を送っている。そこへ彼女にしか聞こえない不思議な歌声を耳にするようになったのをきっかけに、力のルーツをめぐる冒険が繰り広げられていく。

 たしかに『1』では、なんだってエルサがあんな力を持っているのか説明はされていなかった。ファンタジーだからそんなもんだろうとたいして気にもならなかったのだが、せっかく教えてくれるのならば教えてもらいたいもの。しかし、それが世界を構成しているとされる“火・地・風・水”の4つのエレメントが思いっきり絡んでくる壮大すぎる話になってくるとなると、いまひとつピンとこないのである。

©iStock.com

 そりゃあ、あれだけの力だからさもありなんと思うが、『1』ではそうした力を持つがゆえに自分を恐れ、周囲をも拒絶するエルサが自らを解き放つ姿を追った、マキシマムなようでいてミニマムでパーソナルなストーリーだった。そこが、なにかしらのコンプレックスを抱えた観る者の胸にもドンズバでハマって刺さったのである。

 しかし『2』では自分とエルサを重ねて観ようとしても、こちら側のコンプレックスは彼女と違って神々しいものではなく、ハゲているとか尿酸値が高めとかなので(筆者の場合)、スッと乗るのが非常に難しくなってしまった。