昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

実娘レイプ犯に無罪を下す裁判官の「一般常識」

多くの事件が闇に埋もれている

私は直感的に「これは保険金狙いでやったことだな」と思いました。Fさんに多額の生命保険をかけて知らないうちに養子縁組しフィリピンで亡くなったことにして保険金をせしめたのでしょう。

家庭裁判所の裁判官としての私の務めは、「戸籍を作ってほしい」というFさんの申し立てについて許可をすることだけなので、Fさんに許可をしたところでおしまいになってしまい、その後、Fさんがどうなったか、本当に事件に巻き込まれていたのかということは分かりません。

公務員は公務員法によって犯罪を見つけたとき通知しなくてはならないという義務が課されていますが、Fさんに関する犯罪があったかどうかは推測の域を出ないので通知することまではできませんでした。

マスコミが動きだせば事件化されて警察も動きだしたかもしれませんが、「怪しい」と思うくらいでは動かないのが実情なのです。おそらく今日も多くの事件が闇に埋もれていっていることでしょう。

高橋 隆一(たかはし・りゅういち)
元裁判官
東京都生まれ浅草育ち。早稲田大学法学部卒業。1975年に裁判官任官後、民事・刑事・家事・少年の各種事件を担当。2006年3月、千葉家裁少年部部長裁判官を最後に退官。その後、2006年4月、遺言や離婚契約の公正証書の作成などに携わる公証人になる。2016年8月退職。現在は弁護士(東京弁護士会所属)。

この記事の写真(1枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー