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《ゼロからわかる山口組分裂抗争激化》“武闘派”高山若頭の原動力になった「5代目の怨念」

2019/12/17

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

 髙山清司若頭の出所を契機に、山口組分裂抗争が激化している。この抗争の背景にあるものとは――。この11月、『総会屋とバブル』(文春新書)を刊行したノンフィクションライター、尾島正洋氏に寄稿してもらった。

 国内最大の指定暴力団6代目山口組ナンバー2、若頭の地位にある髙山清司(72)が恐喝事件の刑期が満了し10月18日に府中刑務所を出所して以降、暴力団抗争事件が全国で頻発している。

 主な抗争は6代目山口組と、山口組から2015年8月に分裂して結成された神戸山口組との間で発生している。なかには、米軍のライフル型の軍用自動小銃が使われた事件も発生している。

 元は同じ釜の飯を食っていた同士だけに近親憎悪の根は深く、殺害方法も残忍さが際立っている。報復の連鎖は続くのか。双方の組織は全国各地に存在しているため、いつどこで抗争が発生するか分からず、一般市民を巻き添えにする危険性も高まっている。

M16自動小銃乱射の意味するところ

 多くの買い物客が行きかう兵庫県尼崎市の商店街で11月27日の夕刻、大型銃の発射音が連続して鳴り響き、同市を拠点とする指定暴力団神戸山口組幹部の古川恵一(59)が射殺された。逮捕されたのは、対立する6代目山口組系の元幹部だった。

神戸山口組の古川恵一幹部が射殺された現場付近 ©共同通信社

 殺害に使われたのは「M16」と呼ばれる米軍がかつて公式採用していた自動小銃。十数発を全身に発射する残忍さだった。一般的な住宅であれば壁を貫くほどの威力を誇る銃器だけに、巻き添えを恐れる市民をはじめ、社会に与えた影響は大きかった。

 尼崎の連射殺害事件より前の11月18日には熊本市内で別の神戸山口組幹部が刃物で刺され、19日には札幌市内のさらに別の同組幹部宅に車両が突入する事件も起きている。

 警察関係者によると、いずれの事件も、髙山が熊本、札幌の6代目山口組系の組織を「激励」した直後に発生していたという。

「殺人などを実際に指示するということでは決してない。しかし、しっかり仕事に励め、などという趣旨の話をして、地元組織が髙山の意図を解釈した。つまり忖度したということではないか」(警察関係者)