昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, 働き方, 企業

「交渉が終わった後でも、暑い中みんなが屋外で待ってくれていました。その際の話し合いで、経営陣である岸社長と監査役のY氏が退陣する意向もあると示しました。しかし、退任する条件として、加藤さんの退陣も要求してきたのです。私たちはそれを認めるわけにはいきません。

加藤氏に認められて従業員たちの心に誇りが芽生えた

 佐野サービスエリアは加藤さんが来るまで、小さくて地味なサービスエリアでした。でも加藤さんが来てから変わったんです。職場の雰囲気が明るくなった。ストライキに参加している従業員のなかには勤続30年の方もいますが、どれだけ働いていても私たち従業員が経営陣から認められることなんてなかった。でも加藤さんは私たちのことを『佐野サービスエリアのプロフェッショナル』として尊重して扱ってくれたんです」

フードコートで唯一販売されていた佐野ラーメン ©文藝春秋

 加藤氏の着任で、佐野サービスエリアの従業員たちの心に誇りが育っていた。それが、現在のストライキの原動力になっているのだ。

「今まで忙しくて、みんなで話すことがなかなか出来なかったので、この機会を活かして、毎日接客や売り場のオペレーションなどについてみんなで勉強し直しています。たくさんの人にご迷惑をおかけしたんです。自分たちが戻る日には、今よりもっと“プロフェッショナル”になっていなければいけません」(同前)

たくさんのメニューがあるが、販売されているのは佐野ラーメンのみ ©文藝春秋

最後まで守りたいものは守らないといけない

 加藤氏は最後にストライキへの覚悟についてこう語った。

「これは勢いでやってることではないんです。最後まで守りたいものは守らないといけない。従業員はみんな、一日でも早く現場に戻りたいと思っている。できることなら私も彼らと少しの間でも長く一緒に働きたい。今月の給与が従業員に支払われなかったときのため、労働組合に1500万円を供託しています。私にとってはすごい金額ですが、みんなで分けたらたいした取り分にならない。それでもみんな頑張ってくれているんです。

 私は宮城県出身なのですが、東日本大震災のとき、故郷では亡くなったりケガをしたりした友人がたくさんいました。『今やらなくていつやるんだ』と自分を奮い立たせ、会社を辞めて復興に身を投じました。私が独身だからできることですが、貯金の8割を使った。今回もあの時と同じくらい大事な節目だと思っています。こんなことができるのは、本当に、一生に一度くらいですよ」

 加藤氏の証言について、ケイセイ・フーズに事実確認を求めたところ、代表取締役社長の岸敏夫氏が書面でこう回答した。

「今回の一連の事態についての報道には、前提となる事実を誤認していると思われるものが数多く見受けられ、弊社としても、できますれば、ご質問の件について、詳しくご回答申し上げたいところではあります。しかし、弊社は、現在は、きたるべき労働組合との団体交渉に向けての準備に精力を集中すべき時点であると考えており、ご質問にお答えするだけの余力がございません。したがいまして、誠に恐縮ですが、現時点において、ご質問についてご回答差し上げることはご容赦いただきたく、悪しからずご容赦ください」

 ストライキ終結の目処は、いまだ立っていない。

営業を再開した売店には多くの人が詰めかけていた ©文藝春秋

【佐野SAストライキへの流れ】

2018年5月 加藤総務部長がケイセイ・フーズに入社
2019年6月 親会社である片柳建設が新規融資凍結処分をくだされたと情報が流れる
7月 取引業者に信用がなくなり、倉庫の商品が減り始める
7年上旬 当時の総支配人が会社の経費で高級車と家電を購入したことが発覚
7月20日 労使交渉で銀行からの新規融資凍結処分を社長が認める
8月初旬 倉庫の商品がほぼ空になる
8月5日 加藤氏が商品の再納入のため覚書を作成し、社長がサイン
8月9日 社長が覚書を破ると発言
8月13日 口論となり社長が加藤氏に解雇を通告
8月14日 売店、フードコート、レストランがストライキ
8月15日 社長会見
8月16日 売店、フードコートの一部営業再開
8月18日 ケイセイ・フーズがストライキに関する見解を文書「事情のご説明」で発表
8月19日 加藤氏・支配人I氏ら労組と経営陣が団体交渉し決裂

2019年 社会部門 BEST5

1位:《いまだ断行中》「なぜ私は佐野SAストライキを始めたのか」渦中の“解雇部長”が真相を告発
https://bunshun.jp/articles/-/20378

2位:小田原だけで死亡者は4年間で5人……ユニクロ潜入ジャーナリストがアマゾンに警鐘を鳴らす理由
https://bunshun.jp/articles/-/20377

3位:「集団自殺が起きた一軒家を購入したら……」大島てるが語る“関西最恐の事故物件”とは?
https://bunshun.jp/articles/-/20376

4位:「教育委員会は、大ウソつき」埼玉県川口市で高1生徒がいじめを苦に自殺
https://bunshun.jp/articles/-/20375

5位:武蔵小杉が騒然、タワマンで下水道がパンク……台風19号で露呈した「デベロッパーの“売り逃げ”商法」
https://bunshun.jp/articles/-/20370

文春リークス

あなたの目の前で起きた“事件”募集!

この記事の写真(14枚)

+全表示

文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。

※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー