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『ONE PIECE』を抜いてコミック売上数トップに! 椿鬼奴が語る『鬼滅の刃』の魅力とは?

「炭治郎の言葉を胸にロケもがんばりました(笑)」

2019/12/20

 数々の伝説を打ち立て爆走中の『鬼滅の刃』。アニメが話題になったのはもちろん、原作コミックは年間売り上げで11年連続首位だった『ONE PIECE』を超え、また主題歌『紅蓮華』を歌うLiSAは紅白出場が決定。舞台は大正時代。夜の街にはびこる鬼を狩る少年たちを描いたこの作品の魅力を、原作連載開始当初よりのファンだと語る椿鬼奴さんに解説していただいた。

『鬼滅の刃』とは?
『鬼滅の刃』は、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)が「週刊少年ジャンプ」で2016年より連載中の漫画。主人公の少年・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼と化してしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間の姿に戻すべく、「鬼殺隊」と呼ばれる鬼の殲滅部隊の仲間とともに激しい戦闘を繰り広げる。2019年4~9月にテレビ放映されるや、大ブームが到来。さらに2020年にはテレビシリーズに続く物語として、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開が決定している。

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少年漫画らしくない主人公の優しさ

──『鬼滅の刃』との出会いは?

「『鬼滅』の連載前……5年前に『週刊少年ジャンプ』をまた改めて買うようになったんです。それまではいつも地方でのテレビ番組のお仕事のときに、次長課長の井上(聡)さんが『新幹線の中で読んじゃったから』ってジャンプをくれてたんです。でも番組が隔週収録だったから、どの漫画もお話が飛び飛びになっちゃうんですよ。それで毎週自分で買うようになったんです」

──そしてほどなく『鬼滅の刃』の連載がスタートした、と。

「もう第1話からめちゃくちゃ素敵だと思っていました。『竈門炭治郎』って、私が読んできた少年漫画の中で、一番優しい主人公だと思うんです。強さを求める少年漫画の主役って、どこかワガママになるじゃないですか」

炭治郎ルックで登場してくれた椿鬼奴さん。耳元に炭治郎のイヤリング、そして炭治郎風の緑の豹柄シャツは、夫のグランジ・大さんから借りてきたもの。 ©平松市聖/文藝春秋

──図抜けた強さや才能って、それ自体が傲慢に映ったりしますもんね。

「敵である鬼すらも供養する炭治郎にはそういう傲慢さがないし、だから私みたいな女性にもウケるんじゃないかなあ。それでいてバトルはちゃんと“少年漫画”なんですよね」

出し惜しみがまったくないストーリー

「作者の吾峠呼世晴先生って、お話の進め方が本当に上手なんですよ。『柱(鬼を討伐する剣士の最高位集団)』が登場したときも、いったん柱全員に、鬼である妹の『禰豆子』を連れている炭治郎を否定させるんですよね。柱とは鬼と戦う存在だから。だけど、そのあと柱1人1人と炭治郎とのエピソードを追いかけることで、各キャラの人間味を見せるようにしたりしているんです。でもお話の進行は遅くない。むしろ出し惜しみしないし」

──連載3年で、すでに物語が最終局面を迎えてますもんね。

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「アニメの最終盤でも敵のボス・鬼舞辻無惨が12鬼月(無惨直属の鬼の上位12体)のうち下弦(12鬼月の下位6体)を一気に切り捨てたじゃないですか。普通の漫画なら、まずは下弦6体それぞれとのバトルがあって、そのあと上弦(12鬼月の上位6体)と戦わせると思うんですよ。なのに、中ボスの半分近くをナシにしたのには驚かされました」

──確かに主要キャラもモブキャラも命の重さは意外と同じ。誰もがあっさり死にますね。

「『ウォーキング・デッド』とかもそうだし、あれが今どきのアクション作品ならではのテンポなんでしょうね。ただそういう潔い漫画だから、もうすぐ終わっちゃいそうなのが心配で……」

 ──勢いそのままに大団円を迎えそう、と。

「このまま一気に無惨を倒してもらいたいし、鬼化した禰豆子にも人間に戻ってもらいたいんだけど、『鬼滅』が終わっちゃったら私はどうしよう……。炭治郎たちには幸せになってもらいたいけど、お話は続いてほしい。ジレンマに悩んでます(笑)」