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2020/01/04

不正業者の多くは処分されない

 不動産投資向け融資での不正が難しくなった裏で、漫然と続いていたのが住宅ローン不正だった。理由の1つは、不正の実行役である業者にほとんど何のおとがめもなかったことだ。

 スルガ銀行の不正融資にかかわった業者の多くは、国土交通省や東京都から宅地建物取引業の免許を交付されている。その数は軽く100を超える。

 宅地建物取引業法では、宅建業者が取引の公正を害した場合や、法令に反した場合などに行政処分できるとしている。書類を偽造し、過剰融資を不正に引き出す行為が該当するのは論をまたない。

©iStock.com

 だが、朝日新聞がスルガ銀行の不正を報じた2018年2月から年末まで、融資不正で不動産業者に行政処分が出た例は1つもなく、ようやく2019年になって数社に処分が下った程度。いずれも業務改善や一時業務停止の命令で、業者自体は素知らぬ顔で存続している。

不正を働いても、逃げれば勝ち

 不正で大金を得た業者の多くは処分されず、責任を問われることもない。店をたたんで悠々自適に暮らす者もいれば、社名を変えて次のビジネスチャンスをうかがう者もいる。そして一部は住宅ローン不正にも走っていた。

 住宅金融支援機構は今回、不正業者の情報を国交省や東京都とも共有し、厳正に対処するとしている。刑事責任を追及する検討も進めるが、スルガ銀行事件後の対応を考えると、心もとない。

 不正を働いても、逃げれば勝ち――それが日本の不動産業界の現状だ。やればやるほどもうかる限り、業者の不正は今後も続く。巧妙な手口を新たに編みだし、次のカモに狙いを定めているだろう。

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