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海賊版サイト「漫画村」運営者を警察よりも先に見つけた“天才少年ハッカー”とは

2020年の論点100

2020/01/21

 人気漫画の海賊版を無断で掲載していた国内最大規模のサイト「漫画村」の元運営者とされる男が2019年9月、警察に逮捕された。5万点以上の漫画や雑誌が違法アップロードされ、1カ月の訪問者がのべ1億人を超えていたとされる。

 出版社や作家に多大な損害を与え、国がサイトの強制遮断措置まで検討するきっかけを作ったのが漫画村だった。サイトは2016年1月から2年ほど運営されていた。たとえ国家権力が乗り込んでも契約者の情報を決して明らかにしない、ウクライナにある特殊なサーバーから発信されていた。運営者の特定は困難とされ、出版社が手をこまねいていた。

逮捕された漫画村元運営者・星野路実容疑者(中央) ©共同通信社

漫画村を追い詰めた「20歳のホワイトハッカー」

 ところが2017年7月、運営者とされる男の存在を独自の調査で明らかにした若者がいた。当時20歳になったばかりのホワイトハッカー、通称「Cheena」(チーナ)と呼ばれる男性である。

 彼はネット上に点在する情報の断片を丹念に集め、漫画村の実態に少しずつ迫っていった。驚くべきは、情報源が全てオープンなものばかりだったことだ。調査手法は国家の諜報機関が重視する「OSINT」(Open source intelligence)に近い。そんな卓越した分析能力を当時、筆者は目の当たりにしていた。