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連載近田春夫の考えるヒット

今ジャニーズで面白いのは結局関ジャニ∞なのかもしれない――近田春夫の考えるヒット

2019/12/26

『友よ』(関ジャニ∞)/『光の気配』(KinKi Kids)

絵=安斎 肇

 何だかだいいつつ、今ジャニーズで面白いのは結局関ジャニ∞なのかもなァと、あらためて考えさせられているところではありますが、さて『友よ』と聞き、最初は、大昔のフォークソングにたしかそんなタイトルのがあった。カバーなのかいなと思ったりもしたのだが失敬〳〵勘違い。

 諸賢ご存知の通り、ジャニーズもの純正音源の“立ち読み”といいますか、新譜を只で楽しむのは、至難の業だ。

 今回も、フリーで鑑賞可能なのはTVから抜いた映像ぐらいだったので、とりあえずそれを観ていたのだが、CDを聴いただけではきっと知りえなかったものを目の当たりにさせられた。それはこのページ的にはかえってラッキーだったといえるかもしれない。

 TV番組とはいえ、いってみればその中身/意味は“ライブ”なのである。ジャニーズのようなグループアイドルでは、音楽だけでなく総合的に“パフォーマンス”をチェック出来たほうが本質をつかむのには都合いい。というのも、曲は良くともメンバーの動きとの相性はイマイチだよなぁ、なんて場合もあるからだ。ありがたいことに動画には歌詞も添えられていた。資料として申し分ナシである。

友よ/関ジャニ∞(ジェイ・ストーム)作詞・作曲:GAKU 渋谷すばる、錦戸亮と人気メンバーが抜け現在5人体制に。

 何よりのインパクトは、イントロもなくいきなりアカペラで歌い出す安田章大だろう。薄い色味のレンズのトッポいサングラスに、適当に伸ばしているようにも映る髭、髪はモジャモジャと、まぁかなり“ダボシャツ”の似合いそうなというのか、ケンカの場数は相当に踏んできたろうと想像してしまいたくなるような佇まい(笑)なのだ。これは音からだけでは分からない。

 そんな、夜店の屋台で店番でもしていたらなにより様になりそうな“ヤンチャ”な風体の男が、いきなり ♪なぁ友よ/人生って最高だろう?/だからやめられないんだろう なんて、思いっきり熱くシャウトをし始めたと来りゃ見ちゃうよね、そりゃ……。

 それでついつい画面に引き込まれてしまったのだが、ここまでストレートなメッセージフォークというものを耳にするのも新鮮だった。しかもその内容というのが、決して独善的であったり教条的であったりせず、この複雑な時代の景色を見事に描いたものだったことも、画面を見続けてしまった大きな要因だ。

 特筆したいのは、そのいちいちが、あたかも関ジャニ∞のメンバーの内側から発せられているコトバの如くこちら側に響いてきたことである。

 詞曲はGAKUという職業作家が担当しているが、寡聞にしてその名を存じあげていなかった。いずれにせよアイドルとは虚構の世界でこそ光を放つ存在である。そんな彼らにまさに“リアリティ”を与えてみせたGAKUの作り手としての力量は、これからどのように発揮されてゆくのか? 楽しみなことである。

光の気配/KinKi Kids(ジェイ・ストーム)作詞に坂本真綾をむかえた本曲も、デビュー以来続くオリコン週間1位の記録を難なく更新。

 KinKi Kids。

 こちらでは述べてきた文脈に於いての、正真正銘“アイドル的歌唱”のひとつの境地を味わわせてもらえるだろう。

今週のオフ「コンビニが一部店舗で元日営業とりやめるそうだね。昔は年末からお店が閉まって、正月の街はとても静かだったよ。最近どこも営業していて季節感が薄れてきていたから、正月休業、オレは歓迎するよ」と『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)が好評発売中の近田春夫氏。「正月は、どのコンビニにも休んでもらいたいね!」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

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