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人はなぜ「あおり運転」をやめられないのか? 高級車に乗ると増える“脳内物質”の正体

2020年の論点100

2020/02/01

 ここ数年、あおり運転が大きな問題となっています。これほど世間の注目を集めたのは、ドライブレコーダーの普及により、乱暴な走行や暴行シーンがメディアで流れたことが大きいと考えられます。“キレるドライバー”が急に増えたわけではなく、今まで個人トラブルとして埋もれていたものが、多くの映像により報道されて社会問題化したということでしょう。その意味で、あおり運転は古くて新しい問題と言えるかもしれません。

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そもそも、人はなぜキレるのか

 誰しもあおり運転の被害者にはなりたくないものですが、一朝一夕に根絶できることではありません。なぜなら、キレて相手を攻撃することは、人間にとって極めて根源的で本性的な行動だからです。

 そもそも、人はなぜキレるのでしょうか。怒りを感じると、脳内ではノルアドレナリンが分泌され、心拍数、血圧、血糖値が上昇します。同時にアドレナリンの分泌も促進され、筋肉への酸素供給量が増えます。つまり、怒ることで、自分に危害を加えそうな者を攻撃する準備をしているのです。

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 人類(ホモ・サピエンス)の歴史は、アフリカで誕生した20万~30万年前から、外敵との闘いの連続でした。危機に見舞われたとき、闘うのか、逃げるのか、常に選択を迫られていたのです。怒りという感情がなければ、我々は今日まで生き残ることができなかったでしょう。