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2019/12/31

韓国における公的議論の誤りを韓国人自身が論破

 しかしどんな国にも変わる部分と変わらない部分がある。この本はその変わらない部分への注意を喚起していますが、伝統的なメンタリティーよりも現実の政治やメディアの実践のほうが重要ではないかという批判はあるでしょう。

北朝鮮には友好的な文在寅大統領

 ただし、本書のより重要な貢献は、日本統治期の「暴力」や「収奪」といった加害・被害者性の物語の虚偽や虚構を明らかにしてくれた点にあります。

 韓国における公的議論がいかに誤ったものかを韓国人自身が毅然と論破する。その実証的部分こそがこの本の真骨頂であり、李栄薫氏やその仲間たちは命がけでやっているわけです。こんな本は滅多にありません。彼らがどういう表情やしぐさでどう論破しているか知りたかったら、ユーチューブの「反日種族主義」でその映像をご覧になったらいい。日本語字幕つきですから心配はない。

日韓で大論争『反日種族主義』李栄薫氏 「なぜ私はこの本を日本で出版するのか」

 韓国人には珍しい自己批判の本です。日本人の自己批判には時流に媚びる性格のものが多いが、これはそんな甘ったるいものではない。韓国のアイデンティティーに突きつけられたもっとも本格的な異議申し立ての声でしょう。韓国でも日本でも日本統治期についての議論が起きてくれればいいのですが。

反日種族主義 日韓危機の根源

李 栄薫

文藝春秋

2019年11月14日 発売

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