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2019/12/31

韓国人の歴史認識が暴力であることを述べた点がすばらしい

 この意味で本書は、歴史を生きた韓国人に対する敬意に満ちあふれた書物だと思う。みんな、瞬間瞬間に生を賭けてせいいっぱい生きてきた。ぎりぎりの選択をしながら歴史を生きたひとびとを、いとも簡単に断罪してしまってはならない。「韓国の民族主義は、種族主義の神学が作り上げた全体主義的権威であり、暴力です」と本書はいうが、韓国人の歴史認識が暴力であるということをはっきりと述べた点が、すばらしいと思う。

編著者の李栄薫氏

 韓国人や日本の左翼は、自分たちの勝手なイデオロギー(韓国左派の民族主義、日本左翼のマルクス主義など)、贖罪感(日本人左翼)、怨恨(韓国人や在日コリアン)などによって、やりたい放題に歴史を歪めてきた。そのことが、韓国人をどれほど苦しめてきたのか、ということを本書は告発している。現実ではない虚構を信じなければならないから、苦しいのである。

 逆に日本人、特に日本の嫌韓派は、この本を読んで「やっぱりこれまでの韓国人の歴史認識は間違いだったのだ。おれたちが正しいのだ」と溜飲を下げてはならないと思う。李栄薫氏らが自分たちの歴史について、これほど赤裸々に自己反省を展開する痛みの深さを推し量るべきだと思う。

「日本の朝鮮統治が正しかった」などとは本書は決して語っていないのである。

反日種族主義 日韓危機の根源

李 栄薫

文藝春秋

2019年11月14日 発売

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